【障がい×熱中症】精神疾患を持つ私が学んだ熱中症対策と水分補給のコツ

【障がい×熱中症】精神疾患を持つ私が学んだ熱中症対策と水分補給のコツ 障がいについて

はじめに:熱中症は誰にでも起こるリスク

こんにちは、Kです。
私は現在、精神障がいを抱えながらA型事業所で在宅勤務をしています。体調には波があり、特に暑さや湿度には敏感です。

まずお伝えしたいのは、熱中症は障がいの有無にかかわらず、誰にでも起こるものだということ。実は、私が以前、工場勤務をしていた頃にも熱中症を経験しています。さらに最近も、外出中にめまいや吐き気、頭痛が突然出てしまい、体調が急に悪くなることがありました。

この記事では、10年前の熱中症体験と、最近感じた「軽度の症状」からの気づきをもとに、現在の私が実践している熱中症対策を共有します。障がいのある方もそうでない方も、夏を安全に乗り切るためのヒントとして参考にしていただければ嬉しいです。


以前、工場勤務中に水が飲めなかった

今から10年以上前、私は空調のない工場で働いていました。当時は障がいもなく、体力にも自信があり、暑さもそれほど気にしていませんでした。しかしある猛暑日、作業中に突然、体のだるさ、ふらつき、吐き気に襲われました。

「まずい、水分をとらなきゃ」と思い、水を買って飲もうとしましたが、一口飲んだだけで吐き気が強くなり、体が受けつけなかったのです。その異変に気づいてくれた同僚が、会社の車で近くの病院へ連れて行ってくれ、点滴を受けて数時間安静にして、なんとか回復しました。

その時、私は冷房の効いていない環境で体調が悪化していくのを感じ、もし放置していたらどうなったか考えるとゾッとしました。この体験は、「健康であっても、暑さと水分不足が重なると命に関わる」という現実を突きつけられた瞬間でした。


つい最近、軽い症状に気づけた理由

そしてつい最近、街中へ外出した際、軽いめまい・吐き気・頭痛に見舞われました。炎天下ではなかったものの、湿度が高く、マスクの中が蒸れていたこともあり、息苦しさも感じていました。

幸い、私は10年前の体験を思い出し、すぐに日陰に移動して休息して水分補給をすることで症状が改善しました。体に異変を感じたら、まずは休むことが大事だと実感しました。そのとき、「あのとき学んでいなければ、今回も我慢して倒れていたかもしれない」と思い、以前の経験が無駄にならないことを実感しました。


障がいがあると熱中症のリスクが高まるの?

誰にでも熱中症になるリスクはありますが、私のように障がいを持つと、熱中症のリスクがさらに高まる場合があります。私自身の体験を通して、その理由を感じました。以下の点が特に注意すべき要素です。

体温調整がうまくできない

精神科の薬の副作用で、汗が出にくくなることがあります。このため、体に熱がこもりやすく、気づいたときにはすでに危険な状態に陥っていることもあります。

暑さや渇きに気づきにくい

体調が不安定な時、体のサインに鈍感になることがあります。私も、集中しているときに自分の体調の変化に気づかず、後から不調を感じたことがあります。

意思表示が難しい

「暑い」「苦しい」「飲めない」といったことをうまく伝えられないと、周囲のサポートが命を守るためのカギとなります。言葉にできないことが多い中で、周囲が注意深く見守り、サポートしてくれることが非常に重要です。

障がいがあると、熱中症のリスクが高まることを実感しています。体温調整がうまくできなかったり、体のサインに気づきにくかったりするため、周囲のサポートがますます大切になります。自分の体調に気をつけながら、周りの人と協力して安全な夏を過ごすことが大切です。


💧 水分補給の基本と私の実践方法

現在は在宅勤務ですが、10年前の体験も最近の不調も踏まえ、水分補給には日々気を配っています。

  • 飲み物の選び方
    • おすすめ:水、麦茶、経口補水液(※)は体調が急変したときだけに使用
    • 注意:ジュース、スポーツドリンク、カフェインを含む飲料(コーヒー、紅茶など)
  • 糖分の多い飲み物は、「ペットボトル症候群」と呼ばれる高血糖や脱水のリスクを高めます。私も以前、甘い飲み物に頼りがちでしたが、今はできるだけ無糖でノンカフェインのものを意識的に選ぶようにしています。
  • 経口補水液の注意点
    経口補水液(ORS)は、体調が急変したときや、特に強い脱水症状が出たときに使用することが推奨されています。しかし、必要以上に経口補水液を摂取することは避けるべきです。その理由は以下の通りです:
    • 塩分が含まれている
      経口補水液にはナトリウム(塩分)が含まれており、過剰に摂取すると血圧が上がりすぎる可能性があります。水分補給の基本は「水」や「麦茶」であり、経口補水液は体調が非常に悪いときの補助として使うべきです。
    • 必要以上の摂取は逆効果
      過剰な水分補給自体も問題ですが、特に経口補水液を多く飲みすぎると、ナトリウムの過剰摂取により体調がさらに崩れることがあります。必要以上に経口補水液を飲んでしまうことを避け、適切な量を摂取することが重要です。

参考情報
経口補水液(ORS)に関するエビデンスについては、過剰摂取を避けるためにも、正しい使用方法に従うことが重要です。
経口補水液オーエスワン:経口補水液の適正使用について(PDF)
消費者庁:ご存じですか?経口補水液の知識(PDF)


支援者や家族ができること

私も家族や周りの方々に支えられて、無理せず生活できています。支援の現場でも、以下のポイントを意識すると安全性が高まります。

  • 声かけ・確認
    「お水飲んだ?」「今日は暑いね」といった軽い声かけが、本人の意識と安心感を高めます。
  • 室温・湿度の管理
    エアコンは28℃以下に設定
    扇風機やサーキュレーターを併用
    温湿度計で数値管理
  • 涼しい場所への誘導
     本人がしんどそうな時は、屋外ならすぐに日陰へ案内し、休ませることが第一です。
  • 水分の“質”と“量”のバランス確認
    水ばかりを大量に飲むと「低ナトリウム血症」になる恐れも。スポーツドリンクや塩分タブレットを併用することも時に必要です。ただし過度な摂取は危険です(「ペットボトル症候群」等にも注意しましょう)。

⚠️「ペットボトル症候群」にも注意!

ペットボトル症候群とは、ジュースや清涼飲料水など、糖分の多い飲み物を過剰に摂取することで引き起こされる高血糖・脱水状態のことです。この状態は、体内の水分が不足し、さらに糖分が多く摂取されることによって、体が正常に機能しなくなる危険性を高めます。

注意すべき飲み物の習慣:

  • 甘い飲み物を水代わりに飲んでしまう
  • 1日にジュースや清涼飲料水を1L以上飲む
  • 水よりも炭酸飲料やスポーツドリンクを優先して摂取してしまう

これらの習慣が続くと、糖分が過剰に摂取され、体の水分補給の効率が低下してしまいます。結果として、脱水症状を引き起こし、健康に悪影響を与えることになります。

主な症状:

  • 強い喉の渇き
    糖分が多すぎると、体が水分を求め続け、常に喉の渇きを感じることがあります。
  • 倦怠感や吐き気
    血糖値の急激な上昇が引き起こす体の不調として、倦怠感や吐き気を感じることが増えます。
  • 急激な体重減少
    体が水分を保持できず、急激に体重が減少することがあります。
  • 意識がもうろうとする(重症時)
    ひどい場合には、意識がぼんやりしてくる、または意識がもうろうとすることがあり、これは非常に危険です。

予防のために:

  • 水や麦茶を主に選び、ジュースやスポーツドリンクは控えめに。
  • 水分補給は、糖分が少ないものを選び、適切な量をこまめに摂ることが重要です。

熱中症予防の私の体験から学んだ対策

10年前の工場での熱中症、そして最近の軽い体調不良――。
これらの経験を通して、私は「なんとなく不調」に気づけることの大切さと、「予防」の力を実感するようになりました。

ここでは、私が実際に日々の暮らしの中で意識している熱中症対策をご紹介します。大げさなことではありませんが、続けることで体調が安定しやすくなりました。ぜひ参考にしてみてください。


無糖の飲み物をこまめに摂取する

水や麦茶など、糖分が含まれていない飲み物を意識的に選び、こまめに飲むようにしています。
特に暑い日には、のどが渇く前に少しずつ飲むことが大切です。体が必要としている前に、少し先回りするイメージです。


糖分の多い清涼飲料水を控える

以前は甘い飲み物に頼りがちでしたが、今はなるべく避けるようにしています。
糖分が多いと、体調が余計に崩れることがあるからです。代わりに、水や無糖の飲み物でしっかり水分を補うよう心がけています。


のどが渇く前に飲む習慣をつける

「喉が渇いた」と感じてからでは、実はもう体は軽い脱水状態。
私はタイマーを使って「2時間ごとに一口飲む」など、自分なりのリズムをつくっています。特に外出中や集中しているときは意識的に。


室温と湿度を数値で管理する

在宅勤務が多いため、室温と湿度には特に気を使っています。
エアコンや扇風機に加え、温湿度計で数値をチェックすることで「今日はちょっと危ないかも」と早めに判断できるようになりました。


暑さを感じたら、まずは日陰に避難し、無理せず休む

暑さを感じたら、まずは日陰に避難し、座ってしっかり体を休めることが大切です。
直射日光を避けるだけでも体への負担が減り、熱中症の進行を防ぐことができます。


支援者は定期的に体調や水分補給を確認する

私は家族の「最近水、ちゃんと飲んでる?」という一言に、何度も助けられてきました。
支援者や家族が「声をかける・観察する」ことは、本人の体調を守る大きなサポートになります。


おわりに:経験が“予防”につながる

熱中症は、障がいの有無にかかわらず誰にでも起こり得るものです。私自身も、かつて健康であったときに熱中症を経験し、命に関わる危険を感じたことがあります。その経験から、いかに早期の対応が重要かを痛感しました。

今、障がいを抱えるようになった私は、当時の体験や最近の体調不良をきっかけに、より慎重に体調管理を心がけています。体からのサインに敏感になり、無理せずに健康を守ることが最も大切だと感じています。

そして、同じような状況の方々や、大切な家族、支援者の皆様に対しても、今後の夏に向けて安全に過ごすためのヒントをお伝えできたらと思っています。熱中症は予防が鍵です。どうか無理をせず、こまめな水分補給や休息を取り入れ、元気に夏を乗り切りましょう。皆様が無事に過ごせることを心から願っています。

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