「恋愛ドラマ」というと、男女の物語が定番ですが、近年はBL(ボーイズラブ)ドラマが話題となることが増えました。
BLドラマは男女の物語と違い、周囲からの偏見とどう対峙するのか?や、気持ちを伝えるのにも、相手との関係が壊れる可能性が高いという葛藤があったりと、それは、障がいのある方が抱える気持ちとどこか重なり、その姿に共感や勇気をもらえることがあります。
2025年夏、特に話題となったドラマが、🔗『40までにしたい10のこと』。主人公・雀さん(🔗風間俊介さん)と慶司くん(🔗庄司浩平さん)のピュアで少し切ない関係が、多くの共感を呼び、SNSでもトレンド入りしました。
この記事では、『40までにしたい10のこと』をはじめとする、BLドラマの魅力や、障がいのある方の心に寄り添う作品としての役割、そしておすすめ作品を紹介していきます。
※本記事に登場する作品🔗『チェリまほ』は、映画版のタイトルおよび、テレビ作品の略称で、正式には『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』という名称です。ただ、このタイトルは長く、ちょっと口にしづらい面もあるため、本記事では親しみを込めて『チェリまほ』の略称で統一して表記します。
🧑🤝🧑なぜ今、BLドラマが広がっているのか?
『おっさんずラブ』が切りひらいたBLドラマの広がり
BLドラマは、2018年に放送された🔗『おっさんずラブ』(主演:🔗田中圭さん/助演:🔗林遣都さん、🔗吉田鋼太郎さん)の大ヒットが、BLドラマが広がるきっかけとなったと思います。
この作品は、敬遠されがちなジャンルにもかかわらず、地上波のゴールデンタイムに近い時間帯でテレビ朝日系で全国放送され、多くの人がBLドラマを目にすることに。LGBTQ+への理解が広がってきた社会的背景もあり、最初のスペシャル版(助演:🔗落合モトキさん)+ドラマシリーズが3作品も制作、映画化もされました。
また、以前は深夜やBS放送、関東ローカルなど、限られた枠での放送が多かったBL作品ですが、今ではTVerのような配信サービスの普及により、誰でも気軽に視聴できるようになりました。
さらに、テレビ東京は全国6局ネットという環境を逆に活かし、積極的にBLドラマを制作。今やBLドラマブームを支える重要な存在となっています。
BLドラマは、多様性への理解が深まる今の時代だからこそ、より多くの人に届けられるようになってきているのです。
若手俳優さんの魅力に押し上げられる
現在BLドラマは、仮面ライダーに次ぐ、若手俳優さんの登竜門となりつつあり、「この俳優さんは今までどこに隠れていたの?」という、知られていなかった若手俳優さんの魅力が一気に知れ渡るとともに、その人気上昇が、作品の人気をも押し上げることが増えました。
先程の『おっさんずラブ』の🔗田中圭さん、『チェリまほ』では🔗赤楚衛二さん、『40までにしたい10のこと』では🔗庄司浩平さんが、作品と共に一気に知れ渡るきっかけとなりました。
コミック原作の魅力
BLドラマは、コミックを原作にした作品が多くあります。
コミックは、物語の構成やキャラクターの設定がしっかりしていて、すでに人気となっている作品をドラマ化するため、視聴数が見込めるという利点があります。
また、キャラクターの表情や心の動きがコマごとに細かく表現されており、そのまま脚本にも活かされやすいのが特徴です。
SNSでの交流が生む新しい“つながり”
現代では、年齢や障がい、セクシャルマイノリティなどを超えて、作品に共感する人たちのつながりが、作品の広がりを後押ししています。
各ドラマの公式XやInstagramでは、放送に合わせてオフショットや撮影の裏側が投稿され、視聴者がコメントで感想を伝えたり、同じ作品を好きな人同士で語り合ったりと、自然な交流も生まれています。(代表的な例として『おっさんずラブ』の🔗「武蔵の部屋」というInstagram。吉田鋼太郎さん扮する黒澤武蔵をアカ主に設定。大反響を得ました。)
作品の放送時間だけでなく、作品を通じてほかの時間でもSNSでつながれる時代。かつては深夜にひっそり放送されていたBL作品も、現在ではSNSで爆発的に広がる作品が多くあります。
🎬偏見を越えて障がいのある人にも届く、BLドラマのやさしさ
BLドラマに重なる気持ち
BLドラマには、恋愛だけでなく、世間の偏見や、自分らしく生きることの難しさが表現されたり、恋愛でも、相手に拒絶される可能性がより高いという中で葛藤する繊細な気持ちが多く描かれます。
それは、障がいのある人にとっても同じで、そんな登場人物たちの心情や成長、それでも恋に踏み出すその一歩が、障がいのある方の思いと重なり、励ましを与えることがあります。
そのため、さらには聴覚に障がいのある青年と、彼を支える青年の恋を描いた🔗『ひだまりが聴こえる』(🔗小林虎之介さん/🔗中沢元紀さんのW主演)のような作品も生まれています。
週1回の放送が「心のリズム」になる
毎週放送されるドラマは「その時間を楽しみに生きる」という生活のリズムを作ってくれます。
BLドラマは、1話あたり30分のものが多く、無理なく観られる、そして「もうちょっと観たい!」と思わせる長さであることも、より来週が楽しみになるのかもしれません。
障がい者や、心の病を抱える人にとって、「未来に楽しみがある」ことは何よりの力になります。
動画配信サービスに字幕や音声ガイドも増えてきた!
最近では、TverやU-NEXTは字幕、Netflixは字幕と、さらに音声ガイドに対応するなど、視覚や聴覚に障がいのある方でも、より作品を楽しめる配信サービスが増えてきました。
Tverなら、会員登録なしでもほとんどのドラマで放送から1週間以内であれば無料で視聴することができます。
<主な動画配信サービスでの字幕・音声サービスについて>
・Tverヘルプ:🔗字幕対応番組で字幕の設定はどのようにすればいいですか?
・Amazon Prime Video:🔗ウェブ、Amazonデバイス、モバイル端末でPrime Videoの字幕をオンにする
・U-NEXTヘルプセンター:🔗字幕・吹替を切り替えたい
・Netflix ヘルプセンター:🔗映画やドラマの音声ガイド 🔗字幕、キャプションの使用方法
・Lemino よくある質問:🔗字幕/吹替の選択方法
😞「BLってちょっと苦手…」という反応について
LGBTQ+への理解が広がってきたとはいえ、世の中にはいろいろな感性や様々な考え方、人それぞれの背景があり、BLドラマが好きな人も苦手な人もいます。
でもそれは、自分の気持ちに正直にいればいいと思います。
例えば、自分はちょっと、、、と思っていても否定せずに。逆に自分はBLドラマが好きだとしても、苦手な人に無理に押し付けない、そんなスタンス。苦手なものを無理にこじ開ける必要もなく、自分が好きなものをやめる必要もないのでは?
迷惑をかけなければ自分の気持ちは自分のもの。好きなものは好きでいいんだと、苦手でもそれで大丈夫。そう思います。
腐女子や腐男子でも大丈夫!
📺おすすめの癒されBLドラマ【2025年最新版】
これまでに紹介した、『40までにしたい10のこと』(2025年・テレビ東京)、『チェリまほ』(2020年・テレビ東京)など以外にも、素敵なBLドラマがたくさん放送されています。
そのほかのおすすめBLドラマをご紹介します。
『きのう何食べた?』(2019年~2023年・テレビ東京)
- 登場人物:主演:筧 史朗(🔗西島秀俊さん)/ 助演:矢吹 賢二(🔗内野聖陽さん)
 - あらすじとおすすめポイント: 恋愛よりも「食」が丁寧に描かれ、ほかの作品と1線を画す大人の男性カップルならではの葛藤(籍をどうするか?や終活の考え方など)もリアルに表現されている。テレビドラマは2シリーズに映画化もされ大人気を博した。
 - 配信:🔗Amazon Prime Video など
 - 公式HP:🔗ドラマ24『きのう何食べた?』
 
『オールドファッションカップケーキ』(2022年・フジテレビ[関東ローカル])
- 登場人物:主演:野末(🔗武田航平さん)/ 助演:外川(🔗木村達成さん)
 - あらすじとおすすめポイント: 関東ローカルで放送され、全5話という短さで知る人ぞ知る作品。スイーツ巡りを通じて距離を縮める、39歳上司・野末と29歳部下・外川の物語。外川が思いを打ち明けるシーンでは、木村達成さんの熱演に涙する視聴者も。
 - 配信:🔗FOD、🔗RakutenTV、など
 - 公式HP:🔗『オールドファッションカップケーキ』
 
『みなと商事コインランドリー』(2022年、2023年・テレビ東京)
- 登場人物:主演:湊 晃[みなと あきら](🔗草川拓弥さん)/ 助演:香月 慎太郎(🔗西垣匠さん)
 - あらすじとおすすめポイント:コインランドリーで働くアラサー・湊と高校生・慎太郎の恋の物語。ゲイバレで距離ができたかと思いきや、慎太郎の突然のアプローチが始まる。配信は話題を呼び、Paravi(現U-NEXT)のサーバーが一時ダウンするほどの人気に。
 - 配信:🔗Amazon Prime Video、🔗U-NEXT、など
 - 公式HP:🔗ドラマParavi『みなと商事コインランドリー』
 
💊【まとめ】BLドラマが“心の処方箋”になるとき
現在は経済も落ち込む日本。生活も含めて、苦しい中で一生懸命毎日を超えている人が多くなっています。
その中で、周囲の偏見を気にしたり、自分の気持ちをひた隠しにしたりと苦悶する主人公の姿が見え隠れすることもあるBLドラマ。それに共感する人が増え、励みになったり、支えられたり、癒しをもらったり、毎日の色どりにもなったりと、大きな広がりとなっています。
BLドラマを制作するスタッフや俳優さんに取っても、原作をどこまで表現するのか、また、どこまでの表現が視聴者に受け入れてもらえるのか、作品ごとにその苦悩や熱意もところどころ感じられ、それがまた、視聴者にも伝わって、視聴者も「よし、明日も頑張ろう!」と思える。
今の時代、BLドラマが、誰かの「明日を生きる理由」になっているのかもしれません。

  
  
  
  