「障がい福祉報酬」というのを皆さん、ご存じですか?
この「障がい福祉報酬」の臨時引き下げが決定したとのニュースを聞いて、私も、就労継続支援A型事業所で働いているため、ビクッ!としてしまいました。
JOINT介護ニュース:🔗障害福祉報酬、来年度に引き下げ 厚労省案 費用急増で「臨時応急措置」
今回は、この「障がい福祉報酬」が一体どういうものなのか?厚生労働省が引き下げを行う狙いや、それによって私のような利用者にどのような影響が出るのかを、紐解いてみたいと思います。

🦽「障がい福祉報酬」とは?
障がい福祉報酬って?
障がい福祉報酬とは、障がいのある人を支えるサービスを行った事業所に、国や自治体から支払われるお金のことです。
利用者さんが安心して生活や仕事ができるように、
支援の内容や時間に応じて、決まった金額が支払われる仕組みになっています。
ひとことで言うと、「支援を続けるための、大切な運営費」です。
2026年6月の改定は、異例の臨時改定
障がい福祉報酬は、原則は3年ごとに改定されます。前回2024年度(令和6年度)に大きな改定が行われ、次の改定は2027年度に予定されていましたが、その通常改定を1年前倒しし、2026年6月に臨時改定をおこなうことが決定しました。

👩🏫臨時改定はどんな目的で行われる?
「とりあえず作る」という事業者へブレーキをかける
今回の報酬改定は、すでに稼働している事業所の報酬は据え置きにし、新規事業所のみ減額とする方針です。そのため国としては、新規参入にブレーキをかける狙いがあります。
近年、就労継続支援B型や放課後等デイサービスは、全国的に事業所の数が急増しました。このまま報酬が高いと「儲かりそうだから」という理由だけで参入し、内容が空洞の事業者が増える心配があります。
サービスが不足している地域への、新規参入も止めてしまうことになりかねない懸念もありますが、報酬をあえて低く設定することで、「本当にその地域で必要とされている熱意ある法人」だけ新規参入できるように、参入の壁を高くする意図も。
働く人の環境を整え、サービスの質も守る
報酬が高いままだと、人材や支援の質より「参入しやすさ」だけで事業をおこなおうとする人が増え、そこで働く人の環境が守られなかったり、サービスの質が落ちることが考えられます。
そのため、人材育成や体制づくりに本気で取り組める「質」を重視した事業所だけを残したい考えがあります。
障がい福祉サービスにかかる予算の急増を抑え、制度を持続させる
報酬を減額することで、制度全体のお金の使い方を無理なく管理しながら、今ある事業所や加算(処遇改善加算など)に安定してお金が回るようにし、制度をこれからも続けられるようにしていく狙いがあります。

👩🦯「障がい福祉報酬」の減額対象となるサービスとは?
先述のとおり、2026年6月からの障がい福祉報酬が減額となるのは、特に増えてしまった、以下の4つの新規参入事業です。
「就労継続支援B型事業所」・「グループホーム」
これらの施設は、ここ数年で大きく増えました。特に最近は民間企業の参入も増え、一部では「利益優先の運営になっているのでは?」という心配の声も。
就労継続支援B型事業所
就労継続支援B型事業所は、一般の会社で働くのが難しい人でも、自分のペースで仕事や作業を体験したり、少しずつスキルを身につけたりできる場所です。
しかし今後は、短時間利用が厳しくなるかもしれない心配があります。
これまでは1時間でも5時間でも同じような報酬でしたが、今後は「利用時間」がより重視されます。短時間しか通えない人への支援が手薄になったり、事業所から利用時間の延長を言われるケースが増えるかもしれません。
グループホーム
グループホームには「介護包括型」と「日中支援型」があり、日常生活のサポートが必要な人が、家庭のような落ち着いた環境で安心して暮らせるように支援を受けられます。
しかし今後は、「預かる」場所から「自立を助ける」場所へと、一人暮らしへの自立を後押しする方向となるため、ずっと同じ場所にいたい人にとっては、将来の住まいについて話し合う機会が増え、利用者があわただしくなったり、不安を抱える要素が増える可能性があります。

「児童発達支援事業所」・「放課後等デイサービス」
障害のあるお子さん向けの、学童サービスとも呼ばれるこれらの事業は、共働き家庭の増加などもあって需要が高まっています。
一方で、提供されるサービスやケアの内容に差があることが課題となっていました。そのため、利用者が急増したことを受け、国は、サービスの質に差がある事業者を整理しつつ、まずは現状のサービスの量を無理なく整えていくことを重視する方針に舵を切ります。
しかし、今までは利用時間に関わらず一定だった報酬が、2026年6月からは、報酬が利用時間に応じた区分に変わります。そのため、短時間の個別療育中心の事業所では、時間を延ばすか短時間枠を減らすなどの対応をおこなうかもしれません。
また、ケアが必要な子どもへの加算は増えますが、事業所にはより専門的な対応が求められ、利用者の自己負担も少し増える可能性があります。
😞「障がい福祉報酬」の改定に伴う影響
近くに新しい福祉施設ができにくくなるかも?
障がい福祉の報酬が減ると、新しい施設を作っても経営が厳しくなる可能性があります。
そのため、まだサービスが足りない地域でも「今すぐ作る必要はない」と判断する法人が増えるかもしれません。特に過疎地や、特定の支援が必要な方へのサービスの充実が遅れる心配があります。
既存の施設が守られると、サービスの向上が停滞するかも?
新しい施設の報酬が減ると、既存の事業所は今の報酬が維持されます。
それは、利用者にとって安心感があるように思えますが、競争が少なくなるため、サービスの質を高める意欲が下がる可能性があり、サービスの向上が停滞する心配があります。
新しい施設ほど人材確保が難しくなるかも?
新しい施設は報酬が少なくなるので、スタッフの給料を高くすることができなくなります。
その結果、ベテランは報酬の良い既存施設へ、新人は報酬の低い新規施設へ、という人材の偏りが生まれやすくなります。新しい施設ほどケアやサービスの質が安定しにくくなる可能性があります。

😌【まとめ】利用する人は、恐れすぎないで大丈夫!
「障がい福祉報酬の減額」と聞くと、障がいのある方や、高齢の方、その家族の方はちょっとビクっ!としますよね。でも、サービスの利用者はそこまで恐れることはないと思います。
なお、今回の記事を書く上で、先日、私の友人のお子さんが通所していた、出来てまだ半年程度の放課後デイサービスで、職員の皆さんのストライキにより、閉所したという話を思い出しました。
友人は肩を落としていましたが、そのままでは友人のお子さんは、そのデイサービスでつらい目に遭う可能性があったかもしれないとも思えます。
障がい福祉報酬の改定は、今ある事業所がサービスの質を維持・改善していくチャンスでもあると思います。私たち利用者は、福祉支援サービスがより良くなる可能性の方に期待していたいですね。

<関連記事> 今、就労継続支援A型事業所も、存続が難しくなってきている?!
<参考記事>
・はぐめいと:🔗【障害福祉報酬】令和8年度の報酬引き下げ案とは?ポイント整理
・JOINT介護ニュース:🔗障害福祉報酬、来年度に引き下げ 厚労省案 費用急増で「臨時応急措置」
・厚生労働省:🔗障害福祉サービス等報酬改定検討チーム
・ふくふる福祉行政書士事務所:🔗基本報酬引き下げ!?(令和8年度臨時報酬改定)


