障害年金が貰えない?精神障がいを持つ私から見た障害年金制度の「ヤバさ」

障害年金が貰えない?精神障がいを持つ私から見た障害年金制度の「ヤバさ」 制度について

こんにちは。
私は精神障がいを抱えながら、現在はA型事業所で在宅勤務をしています、Kです。
毎日、起きてパソコンに向かい、人と最低限のやりとりをするだけでも相当なエネルギーが必要です。

「家で働けるなら元気なんじゃないの?」とよく言われますが、実際は綱渡りのような日々です。
この文章では、私自身の経験に加えて、発達障がい・知的障がいを持つ方々の声も取り入れながら、障害年金制度の「今」と「課題」についてお伝えしたいと思います。

(写真:Canva)

障害年金とは

障害年金は、病気や障がいで日常生活や仕事に支障が出る人を対象に、生活を支援する公的年金制度です。身体障害だけでなく、精神障害・発達障害・知的障害も対象に含まれます。

年金は障害等級(1級〜3級)によって支給され、日常生活の制限の程度や就労能力に応じて判定されます。

  • 1級:常に介助が必要で、日常生活のほとんどが困難
  • 2級:日常生活に著しい制限があり、援助が必要
  • 3級:労働に大きな支障がある(厚生年金加入者のみ)

参考:日本年金機構:障害年金制度

精神・発達・知的障がいの人が抱える共通の課題

見えにくい障がいは理解されにくい

精神障がいも、発達障がいも、知的障がいも、外見からでは状態が伝わりにくいという共通点があります。
そのため、周囲から「普通に見える」「話せるなら問題ない」と誤解され、困難が軽視されがちです。

たとえば発達障がいの方は、コミュニケーションのズレや過集中・過敏さが日常生活に支障を及ぼしますが、それが「努力不足」だと誤解されることもあります。
知的障がいのある方は、理解のスピードや意思表現に時間がかかることから、「わかってないと思われる」一方で、逆に「自立している」と誤解されて支援を断られることもあります。

生活の苦しさが評価されづらい

障害年金の申請では、医師の診断書に加えて「日常生活の制限」の程度が重要視されます。

しかし、「気力がなくて起き上がれない」「人と会話するだけで極度に疲れてしまう」「手続きが理解できずに一人で何もできない」といった実際の困難が、
形式的なチェック項目(「食事がとれるか」「外出できるか」など)だけでは伝わりにくいのが現実です。

申請そのものが困難

障害年金の申請には、多くの書類と手続きが必要です。
でも、精神・発達・知的障がいのある人にとっては、「役所に行く」「書類を読む」「何度も説明を受ける」といったこと自体が、大きな負担です。

知り合いの知的障がい者は、申請をあきらめてしまいました。発達障がいの方は、書類の準備でパニックになって、途中で断念しました。
周囲に理解者や支援者がいないと、申請にたどり着くことすら困難です。

受給率が低い

日本の障がい者は約1,160万人。そのうち障害年金を受給しているのは、全体の2割未満と言われています。
参考:障害年金の認定基準見直しを 民間研究会などが厚労省に要望(福祉新聞Web)

中でも精神障がい・発達障がい・知的障がいの人は、不支給になる率が高く、実際に支給を受けられている人は限られています

「困っていても、制度の枠に入らない」「状態の説明がうまくできず、軽く見られてしまう」
──そんな声を、たくさん耳にします

判断にばらつきがある

障害年金の審査は、診断書を書く医師の記載内容審査官の解釈住んでいる地域の判断基準によって差が出ることがあります。
精神・発達・知的障がいは状態の変化も激しく、伝え方ひとつで結果が大きく変わることもあります。

これは当事者の側からすると、とても不公平に感じます。

(イラスト:Canva)

制度は時代に追いついているのか?

障害年金の基本制度は1960年代に整えられたもので、当時は「重度=寝たきり」というイメージが前提でした。
しかし、今は支援を受けながら就労する、在宅で社会参加するなど、生活スタイルは多様化しています。

それにもかかわらず、「働けている=障害が軽い」と判断されやすい制度設計は、今の社会とズレています。
多くの人が支援を得て「なんとか」生活している状態なのに、その姿が正当に評価されないのです。

今後の改善に期待したいこと

  • 「見えにくい困難」を丁寧に汲み取る審査
  • 本人だけでなく支援者の意見も重視する仕組み
  • 地域差のない公平な判断基準
  • 申請支援の充実(社労士や支援機関活用へ向けたサポート等)

現在はニュースでも目にするように、制度の見直しに関する議論が昂まっています。
私たちのように、精神・発達・知的障がいを抱えながら、支援のもとで生活を維持している人たちが、制度からこぼれ落ちないような仕組みが必要です。

まとめ

障害年金は、私たちにとって「安心して生きるための最低限の支え」です。
精神・発達・知的障がいは、「目に見えにくく伝わりにくい」障がいです。だからこそ、見えない苦しみが見過ごされ、制度の枠からこぼれ落ちてしまう現実があります。
見えない障がいは、見えないからこそ無視されやすい。
けれど、私たちは確かにここにいて、確かに困っているのです。

障害年金は、“特別な人のための特別な支援”ではありません。
“誰かの一歩を支える当たり前の制度”であってほしい。
「働けているから大丈夫」「外に出られるなら問題ない」―そんな誤解の中で、日々ぎりぎりの状態で生きている人がたくさんいます。

実際、私もA型事業所で働きながら日々なんとか暮らしを成り立たせていますが、その働き方と障害年金の関係について疑問を持たれることがよくあります。

「A型事業所で働いていても障害年金ってもらえるの?」と思った方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

👉 A型事業所勤務でも障害年金は貰えるの?

どうか、声なき声を見落とさない社会になりますように。
そして、精神障がいという「見えづらい障がい」とともに生きている私の声が、少しでも制度の見直しへとつながっていくことを願ってこの文章を締めくくります。