うつ病で休職中の方にとって、社会保険料の支払いは大きな負担となるでしょう。
しかし、制度を正しく理解し、適切な手続きを行うことで、負担を軽減できる可能性があります。
この記事では、社会保険料の支払いに関する疑問や不安を解消し、賢く対応する方法について解説します。
目次
社会保険料とは?
社会保険料とは、健康保険や厚生年金保険など、私たちが加入している社会保険制度を運営するために支払うお金です。
給与から天引きされることが一般的ですが、休職中は収入が減るため、支払いが困難になる場合があります。
休職から退職時の社会保険料について
休職から退職される際、社会保険料の扱いについてご心配されているのですね。
状況によって手続きが異なりますので、詳しくご説明します。
休職中の社会保険料について
一般的に、休職中であっても社会保険料は免除されません。
これは、病気やケガによる休職であっても、社会保険の被保険者としての資格は継続するためです。
休職中の社会保険料の支払いについて
- 会社が立て替えるケース: 会社が従業員の社会保険料を立て替え、復職後の給与から回収したり、退職時に精算したりするケースが多いです。
- 従業員が直接支払うケース: 会社の規定により、従業員が直接社会保険料を支払う場合もあります。
- 傷病手当金からの控除:傷病手当金を受給している場合は、その金額で社会保険料の支払いに充てることができます。
- 社会保険料の免除・猶予の申請:経済的に困難な場合は、市区町村役場へ免除・猶予の申請を行うことができます。
退職後の社会保険料
健康保険
①在職中の健康保険に引き続き加入する場合(任意継続被保険者になる場合)
退職する日までに健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上ある場合には、退職した日の翌日から20日以内にご本人の住所地を管轄している協会けんぽ都道府県支部(健康保険組合に加入していた場合は健康保険組合)に申請することで、退職日の翌日から2年間、引き続き健康保険に加入することができます。
これを任意継続被保険者といい、従前の保険者から引き続き健康保険の給付(傷病手当金及び出産手当金を除く)を受けることができます。
保険料を算定する場合の標準報酬月額は、退職時の標準報酬月額と保険者の標準報酬月額の平均額のうち低い方で、保険料は全額自己負担になります。
なお、保険料を納付期日までに納付しなかったときは、納付期日の翌日に資格を喪失しますので、納付を忘れないように注意しましょう。
②住所地の国民健康保険に加入する場合(国民健康保険)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/koukikourei/index_00002.html
在職中の健康保険に加入する場合(①)と健康保険に加入している家族の被扶養者になる場合(③)以外は本人の住所地の国民健康保険に加入します。
本人の住所地の市区町村役所で加入の手続きをします。
③健康保険に加入している家族の被扶養者になる場合https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html
被扶養者になるには、被保険者の三親等以内の親族で主として被保険者によって生計が維持されていること、原則として国内に居住していることが必要です。
被扶養者の保険料は、個別の保険料負担はありませんが、収入のある方が被扶養者として認定されるためには、次の基準により判断されます。
収入がある場合の判断基準
- 年収が130万円未満(60歳以上は180万円未満)であること
- 被保険者と同居している場合は、年収が被保険者の年収の1/2を超えないこと
- 被保険者と同居していない場合は、年収が被保険者からの仕送り額より少ないこと
注意点
- 手続きの期限:各手続きには期限がありますので、必ず期限内に手続きを行いましょう。
- 必要な書類:診断書、源泉徴収票など、必要な書類を準備しておきましょう。
- 相談窓口:市区町村役場、健康保険組合、年金事務所など、それぞれの窓口で相談しましょう。
具体的な手続き
- 市区町村役場: 社会保険料の免除・猶予、国民健康保険への加入手続きなど
- 健康保険組合: 傷病手当金、任意継続加入など
- 年金事務所: 国民年金への加入手続きなど
相談先
- お住まいの市区町村役場: 社会保険料、国民健康保険など、幅広い相談に対応してくれます。
- 健康保険組合: 健康保険に関する専門的な相談ができます。
- 年金事務所: 年金に関する相談ができます。
社会保険・国民健康保険が払えない時は
社会保険料や国民健康保険料の支払いが困難な状況は、とてもつらいですね。お一人でお悩みにならず、まずは以下のことを試してみてください。
状況を把握し、相談窓口へ
- どのような保険に加入しているか確認する: 健康保険の種類(会社員なら社会保険、自営業者なら国民健康保険など)、国民年金など、加入している保険の種類を把握しましょう。
- 支払いが困難になった理由を整理する: 病気やケガ、失業など、支払いが困難になった理由を具体的に整理しておくと、相談の際に役立ちます。
- 相談窓口に連絡する: 各保険の種類によって、相談窓口が異なります。
- 社会保険: 会社の総務部や、加入している健康保険組合に相談しましょう。
- 国民健康保険: 住んでいる市区町村の役所へ相談しましょう。
- 国民年金: 最寄りの年金事務所へ相談しましょう。
制度を活用する
- 納付猶予: 一時的に支払いを猶予してもらう制度があります。
- 減免: 収入が減っている場合など、保険料を減額または免除してもらう制度があります。
- 分割払い: 一度に支払うのが難しい場合は、分割払いに対応してくれる場合があります。
その他の支援策
- 生活保護: 生計を維持することが困難な場合は、生活保護の申請も検討しましょう。
- 民生委員・児童委員: 住んでいる地域の民生委員・児童委員に相談することもできます。
- 弁護士・司法書士: 法的な問題が生じている場合は、弁護士や司法書士に相談しましょう。
注意点
- 放置しない: 支払いを放置すると、延滞金が発生したり、保険証が使えなくなったりする可能性があります。
- 早めに相談する: 困ったことがあれば、早めに相談窓口に連絡しましょう。
具体的な相談例
- 「病気で働けなくなり、収入が減ってしまい、保険料の支払いが困難です。」
- 「失業してしまい、生活が苦しいので、保険料を減額してもらえませんか。」
相談する際の持ち物
- 保険証
- 収入証明書(源泉徴収票など)
- 通帳
- 印鑑
まとめ
社会保険料や国民健康保険料の支払いが困難な場合は、一人で悩まず、必ず相談窓口に相談しましょう。様々な支援制度がありますので、諦めずに解決策を探しましょう。