車は必要?それともタクシー・バス・電車で十分?障がい者の移動手段とコストを考える

車は必要?それともタクシー・バス・電車で十分?障がい者の移動手段とコストを考える 制度について

体に不自由がある方にとって、通院や買い物などの、ちょっとした「移動」でも一苦労。

タクシーもなかなか高いし。バスは費用を抑えられるけれど、バスの本数が少ないとか、荷物が多い時は大変。でも、車を持てば楽になるかなと思うけど、購入費や維持費がかかる。。。

また、大都市と地方では交通網が大幅に違っていて、障がいの程度や生活環境によっても向き・不向きが変わってきます。

この記事では、障がいのある方で「車を持つかどうか」迷っている方に向けて、それぞれの移動手段のメリット・デメリットや、実際にかかる費用についてご紹介します。

  1. 🚗車は本当に必要?都市部と地方の違い
    1. 都市部では交通機関が充実していても不便なことがある
    2. 地方では車なしでは生活できない?
  2. 💰車を持つ場合のコスト
    1. 車の維持費はどれくらい?
    2. 1ヶ月でこのくらい維持費がかかる!
      1. 都市部はコインパーキングの価格も考慮に入れる
      2. 都市部によくある「カーシェアリング」
      3. 「車のサブスク」もあります。
  3. 🚐障がいのある方のための自動車関連支援制度
    1. 自動車税の減免制度について
    2. タクシー券・バスチケットなどの支援もチェック
    3. 自動車燃料費の助成がある自治体も!
    4. 障がいにあわせた自動車改造費補助について
  4. 🚃車を持たない選択肢:公共交通・タクシーの活用
    1. 車を持たない場合の困りごと
    2. 体に不自由があるときの移動の工夫〜電車やバスを使うときに〜
      1. バリアフリールートが見えるアプリも徐々に登場!
    3. 福祉タクシー・介護タクシーとは?
  5. 🛻車を持つなら知っておきたい!保険選び
    1. 「自賠責保険」と「任意保険」の違い
      1. 自動車の任意保険とは?
      2. 「ネット保険(ダイレクト型保険)」と「代理店型保険」、「ハイブリッド型」の違い
    2. おすすめの保険会社(任意保険)
  6. 🚙ガソリン車・ハイブリッド車・電気自動車 どれがお得?
    1. ガソリン車・ハイブリッド車・電気自動車のコスト
          1. ガソリン車
          2. ハイブリッド車(HV)
          3. 電気自動車(EV)
    2. 【意外と知らない!】電気自動車(EV)はタイヤの減りが早い
  7. 🚗【まとめ】車を持つということ

🚗車は本当に必要?都市部と地方の違い

都市部では交通機関が充実していても不便なことがある

都市部では、バスや電車、地下鉄が発達していて、「車がなくても生活できる」と思いがち。けれど、地下鉄は段差が多く、駅やバス停までの移動、乗り物への乗降時の段差、常に人が多く混雑していて行動しにくいなど、障がいのある方にとっては多くのハードルが。

また、車いす利用者にとってみると、希望の時間帯のバスが低床バスではなかったり、駅が混雑し、エレベーターがなかなか来ないなど、安心して使えるとは限りません

地方では車なしでは生活できない?

地方では、バスや電車の本数が少ないだけでなく、そもそも路線がないなど、最寄りのスーパーや病院に行くのにも車がないと大変。

これは意外と知られていないかもしれませんが、都市部と違い、地方の小さな町になると、タクシーも20時以降は営業終了しているなんてことも。

そのため、障がいのある人だけでなく、地方に住む人にとっては、車が「生活必需品」になっている場合が多く、免許の取得や、マイカーの所有が現実的な選択肢になります。

💰車を持つ場合のコスト

車の維持費はどれくらい?

以下が一般的な車の維持費の目安です。
※障害のある方の自動車税の減免制度については後述で紹介します。

  • 軽自動車/普通車共通
    • 自賠責保険:約27,330円(2年)
    • 駐車場代(都市部):月1〜6万円程度
    • 駐車場代(地方):月0〜6,000円程度
  • 軽自動車の場合
    • 自動車税:年間約10,800円(障害のある人には免除制度あり
    • ガソリン代:月約5,000~10,000円(自治体によっては補助あり)
    • 任意保険:年間約3万〜5万円
    • 点検整備:約8,000円〜15,000円(6カ月点検や12カ月点検ごとに)
    • 車検代:約7万円〜10万円(2~3年に1回)
  • 普通車の場合
    • 自動車税:年間約30,500円(障害のある人には免除制度あり
    • ガソリン代:月約8,000〜15,000円(自治体によっては補助あり)
    • 任意保険:年間約5万〜8万円
    • 点検整備:約10,000円〜20,000円(6カ月点検や12カ月点検ごとに)
    • 車検代:約10万円〜15万円(2~3年に1回)

1ヶ月でこのくらい維持費がかかる!

上記の維持費を参考に、車を持つと、月々どのくらいの費用がかかるのかを、ざっくりと計算してみました(自動車税は免除として考えます)。

軽自動車の場合:約10000円 + 駐車場代 + 車検代を 月3000~5000円程度 貯蓄しておく。
普通自動車の場合:約15000円 + 駐車場代 + 車検代を 月5000~7000円程度 貯蓄しておく。

余裕をみて、軽自動車で月2~3万円普通自動車で月3~4万円程度の維持費がかかります。
ここに車のローンや購入費が加わる場合もあるので、全体の出費をしっかり把握しておくことが大切です。

現在使っている交通手段(バス・電車・タクシーなど)の費用や、車があることでの体の負担軽減・移動の便利さなども考慮して、車を持つかどうかを考えてみましょう。

都市部はコインパーキングの価格も考慮に入れる

都市部では、目的地に無料駐車場がないことも多く、コインパーキングを使う場面が増えます。

地方ではスーパーや駅前に無料、または安価な駐車場があることが多いですが、都心では30分で600円以上駐車代がかかる場合もあります。

車を使う機会が多い方は、コインパーキング代も生活コストの一部として考えておくと安心です。

都市部によくある「カーシェアリング」

都市部では、車を持たなくても必要なときだけ車を使える「カーシェアリング」が広まっています。
会員登録をすると、アプリなどで近くの車を予約し、短時間から利用できます。

税金や保険、車検などの維持費がかからず、レンタカーよりも手軽な料金で使えるのが魅力。
自宅近くにステーションがある場合は、うまく活用してみるのもおすすめです。

<主なカーシェアリング>
タイムズモビリティ:🔗タイムズのカーシェア 「タイムズカー」
三井不動産:🔗三井のカーシェアーズ

「車のサブスク」もあります。

車のサブスクリプション(定額カーリース)は、毎月定額の料金を支払うことで、車を購入せずに新車に乗れるサービスです。料金には、車両代のほか、税金や自賠責保険、車検などのメンテナンス費用などが含まれており、まとまった初期費用が不要で、車検などの突然の大きな出費がないのが特徴です。

契約期間が終わったら車を返却するのが基本ですが、そのままもらえるプランもあります。基本は「借りる」スタイルなので、新車に気軽に乗れるのが魅力です。

ただし、車のカスタマイズや走行距離が制限される、中途解約に条件がある、任意保険が別途必要の場合があるなど注意点も。また、障がいのある方が受けられる自動車税の減免が適用されないため、車を購入する場合のコストとの比較も大切です。

<主な車のサブスク(任意保険込のもの)>
🔗KINTO:TOYOTAとLEXUS、SUBARU車のサブスク。3社のディーラーでも説明が受けられる。
🔗三菱モータース「ウルトラマイカープラン」:三菱車のサブスク。事故時の緊急通報が付帯で安心。

🚐障がいのある方のための自動車関連支援制度

自動車税の減免制度について

障がい者手帳をお持ちの方や、その家族が運転する車は、自動車税や軽自動車税が減免される制度があります。

申請は、お住まいの市区町村や都道府県の窓口(税務課・福祉課・財務事務所など)で行います。
※軽自動車税は市区町村、普通自動車税は都道府県が担当です。

登録できる車は1台まで、毎年申請が必要などの条件がありますが、内容によっては年間で数万円の節約になることもあります。

制度の内容や条件は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。

<静岡県浜松市の場合>
軽自動車の場合:🔗軽自動車税(種別割)の減免申請をするときは(身体等)
普通自動車の場合:🔗身体等に障害のある方に対する自動車税環境性能割・自動車税種別割の減免について

タクシー券・バスチケットなどの支援もチェック

自治体や障害の内容・等級によっては、「タクシー券(福祉タクシー利用券)」の支給や、バスチケットが交付される場合があります。

  • 【例】東京都新宿区:タクシー券を月額4,000円分を交付
  • 【例】静岡県浜松市:タクシー券・ナイスパス料金(遠州鉄道)・天竜浜名湖鉄道乗車券引換券などを年1回7,000円分を交付

自動車税の減免を受けている人はタクシー券の交付がない場合もあります。交付される条件などの詳細は各自治体のHPで確認してください。

<静岡県浜松市の場合>
🔗障がいのある人への外出支援助成券(バス・タクシー利用券等)の交付

自動車燃料費の助成がある自治体も!

お住まいの自治体によっては、障がいのある方や、子育て世帯に自動車燃料費の助成がある自治体もあります。

  • 【例】東京都練馬区:月額2,800円を交付
  • 【例】埼玉県さいたま市:1リットルにつき50円、年度10,000円を限度で助成。

タクシー券の交付を受けている人は自動車燃料費の助成がない場合などもあります。交付される条件などの詳細は各自治体のHPで確認してください。

<自動車燃料費の助成がある自治体の例>
東京都練馬区:🔗心身障害者自動車燃料費(ガソリン代)助成
埼玉県さいたま市:🔗自動車燃料費の助成

障がいにあわせた自動車改造費補助について

障がいのある方が安心して運転できるよう、必要に応じた自動車の改造に対して、補助がある自治体もあります。

静岡県浜松市の場合、自動車の改造費の2分の1以内で、100,000円を限度として補助がありますが、補助される条件についても自治体で異なりますので、こちらも、お住まいの自治体のHPなどでご確認ください。

<静岡県浜松市の場合>🔗自動車改造費補助金

🚃車を持たない選択肢:公共交通・タクシーの活用

車を持たない場合の困りごと

足に不自由があり、車を持たない場合の一番の困りごとは「天候」です。

車いすや杖を使う場合、雨の日は傘が使いづらく、路面も滑りやすく危険です。夏の暑さも日傘が差しにくく、熱中症のリスクがあります。

徒歩10分ほどの距離でも、公共交通が使えない場所にあったり、タクシーも呼びづらい距離。悪天候時の外出が大きな負担になります。買い物帰りは荷物も増え、さらに大変です。

障がいのある方は複数の病院に通うことも多く、こうした事情から「車があったほうが便利」と感じる場面が多くなります。

体に不自由があるときの移動の工夫〜電車やバスを使うときに〜

公共交通を利用する際は、移動しやすくするために、少しだけ工夫をしておくと安心です。

<🚃電車を使う場合>
利用する駅や施設のバリアフリー経路を、事前に確認しておきましょう。
乗り換える場合は、電車路線で遠回りになろうとも、段差が少なく、移動距離の短い乗り換え駅を選択。(経路検索アプリで調べた、到着が早い経路を決定とせず、移動しやすい経路を選びましょう。)
駅によってはエレベーターが混雑していることもあるので、余裕をもって計画を立てましょう。
トイレの心配がある場合は、途中の多機能トイレの場所も調べておくと安心です。

<🚌バスを使う場合
車いすを利用する方は、「低床バス」の運行時間を確認しておきましょう。
・時間が正確ではないので、
時間に余裕を持った計画を立てましょう(乗り継ぎがある場合は特に注意)。
杖の場合、車体の揺れが電車より大きく、座れないと乗車が難しいため、混雑する時間帯は避けるのがおすすめです。
乗車中の両替は難しいので、小銭か利用する路線が対応する交通系ICカードを用意しておきましょう。(障がい者割引についても、事前に調べておく。)

《あわせて読みたい!
・メジャーサポートサービスブログ:🔗「障がい者も外国人観光客も心地よく。オーバーツーリズムの今こそ見直したい“お出かけの工夫”」

バリアフリールートが見えるアプリも徐々に登場!

エレベーターの有無を考慮してルートを検索できる「NAVITIME」や、車いす利用者などが実際に通れた道や使えた施設の情報を共有できる「WheeLog!」など、安心して外出できるバリアフリー対応のアプリも登場しています。

<バリアフリーのルート検索などに役立つアプリ>
・🔗『NAVITIME』『乗換NAVITIME』東京全駅のエレベーター情報が考慮され、ルート検索が可能。
・🔗「WheeLog!」
:外出時に得たバリアフリー情報をユーザーで共有し、外出時の安心を増やすアプリ。

福祉タクシー・介護タクシーとは?

福祉タクシー(介護タクシー)とは、車いすのまま乗車できるように改造されたタクシーで、体の不自由な方や高齢者の移動をサポートするサービスです。ドライバーが介助の資格を持っている場合もあり、病院や役所への通院・手続きなども安心して利用できます。

通常のタクシーより料金はやや高めですが、自治体によっては助成制度や福祉タクシー券が利用でき、自己負担を抑えることも可能です。

例として、静岡県浜松市の「遠鉄タクシー」の介護タクシーの場合、メーターは一般のタクシーと同じで、介助料金として別途500円(介助内容によって異なる場合あり)で、利用できます。

<「遠鉄タクシー」の介護タクシー「すずらん号」・🔗遠鉄タクシー「介護タクシー」

🛻車を持つなら知っておきたい!保険選び

「自賠責保険」と「任意保険」の違い

自動車保険には「自賠責保険」「任意保険」があり、「自賠責保険」は法律で加入が義務づけられており、補償内容や保険料はすべて法律で決まっているため、どの保険会社でも同じです。
そのため、加入先は手続きのしやすさで、自動車販売店・代理店・コンビニ・ネットなどから選ぶのがよいでしょう。

「任意保険」については、このあと詳細にご紹介します。

自動車の任意保険とは?

「任意保険」は、自賠責保険だけでは補いきれない部分をカバーする保険です。加入は義務ではありませんが、万が一の事故に備えるため、多くの人が加入しています。任意保険に未加入の場合、事故の際に多額の自己負担が発生する可能性があるので、加入しておきましょう。

また、保険料の安さだけでなく、補償内容・事故対応力が充実した保険のから、最も保険料が安いものを選のがよいでしょう。

「ネット保険(ダイレクト型保険)」と「代理店型保険」、「ハイブリッド型」の違い

ネット保険(ダイレクト型保険)とは?>
申し込みから手続きまでをすべてインターネットで行う保険です。対面によるサポートはないので、保険料は比較的安めですが、事故対応なども自分で行う必要があるため、不安に感じることもあります。

代理店型保険とは?>
対面で相談できる保険です。専属の担当者がつき、契約や事故対応までサポートしてくれます。
ただし、書面での手続きや来店が必要なこともあり、保険料はやや高めです。

ハイブリッド型とは?>
ネットで契約しつつ、代理店や担当者のサポートも受けられる保険です。実際には“ネット型 + サポート強化”という形で提供される場合が多くあります。

おすすめの保険会社(任意保険)

以下に、補償内容や事故対応、保険料などをふまえて、おすすめの保険会社をご紹介します。

おすすめ保険会社(2025年版)
1.🔗セコム安心マイカー保険(ハイブリッド型):事故対応は24時間。現場かけつけサービスあり、示談交渉もセコムが請け負ってくれます。手厚い補償内容。
2.🔗楽天損保「楽天自動車保険」(ハイブリッド型):事故対応は24時間。こちらもかけつけや示談交渉も請け負ってくれます。楽天ポイントもたまります

🚙ガソリン車・ハイブリッド車・電気自動車 どれがお得?

ガソリン車・ハイブリッド車・電気自動車のコスト

ガソリン車
  • 燃費:一般的なガソリン車でリッター10〜20km程度
  • 月の燃料コスト:5,000〜10,000円程度(リッター160円で換算)
  • 特徴給油が手軽でインフラが整っているが、ガソリン価格に左右されやすい。
ハイブリッド車(HV)
  • 燃費:リッター30km前後の車(トヨタ・プリウス)もあり!(エンジンとモーターの両方を効率よく使うため)
  • 月の燃料コスト:4,000〜8,000円程度(リッター160円で換算)
  • 特徴ガソリン車より燃費が良く、充電不要。初期費用はやや高め。ですが、車によってはエコカー減税(※)などの対象になることも。
電気自動車(EV)
  • 充電代:1回300〜600円(家庭用)
  • 月の燃料コスト:3,000〜5,000円程度
  • 初期費用:車両+充電設備で高め(10〜30万円程度)
  • 特徴燃料代は安いが、充電環境が必要。特に賃貸マンション付属の駐車場や貸し駐車場利用の場合は注意。こちらもエコカー減税(※)の対象となります。

電気自動車は長期的には安くなる傾向がありますが、初期費用(本体+充電設備)が高いため、導入には計画が必要です。

エコカー減税とは?>
電気自動車やハイブリッド車など、燃費性能や排出ガス性能に優れた車を対象に、車検時にかかる自動車重量税が減免される制度。また、車の取得時に環境性能割が適用されることがあります。詳しくは🔗こちら

【意外と知らない!】電気自動車(EV)はタイヤの減りが早い

電気自動車(EV)は、車体に大型バッテリーを積んでいるため、一般的にガソリン車よりも車両重量が重くなります。この重さが影響して、タイヤへの負担が大きくなり、結果としてタイヤの摩耗が早くなる傾向にあります。

そのため、電気自動車はガソリン車に比べて、タイヤの交換頻度が多くなることもあるのです。

🚗【まとめ】車を持つということ

車があれば、どこへでも自由に行ける。気持ちが晴れない日、どこか景色のきれいなところへ。そんな気ままなお出かけもできます。

そして、外の暑さや荷物が多い時でも、ちょっと病院へ行くのも、買い物に行くのも、大幅に負担が軽減されます。けれど、障がいのある方は、生活費に加えて車の維持費が、と思うと、無理だと感じるかもしれません。

でも、制度の活用や工夫しだいで、車を持つことができるかもしれません。あきらめずに、自分に合った方法を探してみてください。

あなたのお出かけが少しでも楽になりますように。