こんにちは、Kです。
今回は、精神的にしんどくなったときに「この人に出会えてよかった」と心から思えた支援者の皆さんについて、私自身の経験を交えながら、その役割と関係性についてお伝えしたいと思います。
※本記事は情報提供を目的としており、個別の医療判断を行うものではありません。心身の不調を感じた際は、医療機関や専門の支援機関へご相談ください。
最初に
私たちを支えてくれる人たちは実はたくさんいます。
しかし、最初は「誰に何を相談すればいいの?」と戸惑ってしまうこともあると思います。私も同じでした。
私が支援の中で少しずつ実感したことはこうです。
- 支援者によって役割も関係性(距離感)も違うこと
- すべてを一人の人に頼る必要はないこと
- 支援は一つずつつながっていくもので、少しずつ自分の力になってくれること
この記事では、精神障がいのある私たちがよく関わる支援職について、「どこにいるか」「どんな支援をしてくれるのか」「どんな関係性と距離感なのか」を整理し、わかりやすくご紹介します。
精神障がいを持つ方への支援職まとめ
精神障がいを持つ方への支援にはさまざまな職種が関わっています。
ここでは特に代表的で、実際によく関わる主要な支援職を紹介致します。
すべての支援者を知ることは難しいかもしれませんが、自分に合った支援と出会うための参考にしてみてくださいね。
支援職種 | どこにいる? | 主な役割 | 関係性・距離感 |
精神科医 | 精神科病院、メンタルクリニック、総合病院の精神科外来など | 精神疾患の診断を行い、薬の処方や治療方針の決定を担当します。症状の評価や必要に応じて入院の判断をするなど、治療の中心的な役割を担います。 | 基本的に短時間の診察が多く、関わる時間は限られていますが、治療の全体像を方向づける非常に重要な存在です。信頼関係の構築が治療効果にも大きく関わります。 |
看護師(訪問看護) | 病院・クリニックの訪問看護部門、精神科訪問看護ステーションなど | 自宅を訪問し、服薬状況の確認、体調の観察、生活全般の相談対応、医療機関との連携を図る役割を担います。急変への初期対応や家族支援も含まれます。 | 利用者の生活環境の中で関わるため、非常に距離が近く、安心感を持たれやすい存在です。週に1〜数回の定期的な訪問により、変化に気づきやすい立場でもあります。 |
精神保健福祉士(PSW) | 精神科病院、地域包括支援センター、保健所、障害福祉サービス事業所など | 障害福祉サービスの紹介や制度利用のサポート、各種申請書類の作成支援など、社会生活を送る上での実務的な支援を行います。入院中・通院中の支援調整も担います。 | 精神疾患を抱えながら生活する人にとって「社会との接点」をつくってくれる専門職であり、現実的で具体的な課題に一緒に向き合ってくれる、頼れる相談相手となります。 |
生活支援員 | 就労継続支援B型・A型事業所、グループホーム、地域活動支援センターなど | 利用者の生活や作業活動のサポートを日常的に行い、困りごとへの対応や声かけ、日々の心身の状態を見守る役割を果たします。必要に応じて、食事、掃除、金銭管理などの支援も含まれることがあります。 | 毎日顔を合わせるような関係性の中で、利用者が安心して生活できるようサポートしてくれます。精神状態の小さな変化にもいち早く気づける身近な支援者です。 |
相談支援専門員 | 指定特定相談支援事業所、障害者地域生活支援センターなど | 利用者の希望や状況をもとに「サービス等利用計画」を作成し、適切な障害福祉サービスにつなげる役割を持ちます。関係機関と連携しながら支援全体を調整します。 | 面談を通して話を丁寧に聞き取り、必要な支援を整理していく存在です。制度と生活の“橋渡し”として、現実的な課題に対して中長期的に伴走してくれる立場です。 |
臨床心理士・公認心理師 | 心療内科、精神科病院、カウンセリングルーム、学校、企業など | カウンセリングや心理検査を通じて、心の問題や感情の整理、過去のトラウマへのアプローチを行います。自分の気持ちを言語化するサポートやストレスへの対処法も提供します。 | 定期的に時間を取り、信頼関係を築きながらゆっくりと心の内側に向き合っていく存在です。「話を聞いてもらう」ことそのものが大きな支えとなる場合もあります。 |
保健師 | 保健センター、市役所の健康福祉課、地域包括支援センターなど | 地域住民の健康相談や精神疾患に関する初期対応を行い、必要な医療機関・支援機関へとつなぐ“地域の相談窓口”のような存在です。家庭訪問や生活指導も行います。 | 困ったときに最初に相談できる公的な職種であり、特に本人が医療に抵抗感を持っている場合でも、やわらかく寄り添いながら支援へと導いてくれる安心感のある存在です。 |
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【補足】その他の支援者(一例)
ここまでご紹介した支援職以外にも、私たちの気持ちや暮らしを支えてくれる人がいます。
例えば、ピアサポーターさん。
彼らは同じような経験を持つ当事者として、安心して話せる心のよりどころです。悩みを共有できる存在はとても心強いです。
また、地域活動支援センターのスタッフさんも重要な役割を担っています。
居場所づくりや地域の人とのつながりをサポートしてくれるので、社会とつながりたいときに助けになってくれます。
さらに、ハローワークには障がい者雇用専門のトータルサポーターの方がおり、就労に関する相談やサポートを行っています。
仕事探しや職場での困りごとについて相談しやすく、障がいに配慮した働き方を支援してくれる頼もしい存在です
…他にも大切な役割を担う支援者はたくさんいます。
こうした多様な支援者がいてくれることも、私の生活の安心につながっています。
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【経験談】私が訪問看護にたどり着くまでのつながり
私は現在、事業所で働きながら精神科の通院と訪問看護を受けています。
実際に私が訪問看護を始められたのは、こうした支援者がつながったからでした。
- まず、日々の生活を見守ってくれている生活支援員さんから、
「最近、体調が不安定そうですね」と気にかけてもらいました。 - 生活支援員さんからの相談を受けて、相談支援専門員さんが私の状態を理解し、どんな支援が必要か検討してくれました。
- 相談支援専門員さんは「訪問看護が合うかもしれません」と私に提案し、主治医の精神科医の同意を経て、精神科訪問看護ステーションの調整してくれました。
- その結果、精神科の訪問看護師さんが私の家に来てくれるようになり、定期的なサポートが始まりました。
こうして、身近な人が気づいてくれ、専門家につないでくれて、適切な支援が届く。私はこの流れを経験して、本当に支援者の連携の大切さを感じました。
もし私一人だったら、訪問看護にたどり着くことは難しかったと思います。
私達と支援者との関係性(距離感)を知る
支援者とひとことで言っても、それぞれ専門も関わり方も違います。それは職種によってさまざまです。
ただ「支援者だから」といって、慌てて「助けて」と強く頼るだけでは、うまく気持ちが伝わらないこともあります。
自身と支援者との距離感を把握し、自分のペースで少しずつ心地よい支援体制を整えていくことが大切です。

距離が近い支援者(週に数回と関わる時間が多い/すぐに相談しやすい) | ゆっくり信頼関係を築く支援者(月に数回と会う頻度が限られる) |
生活支援員/相談支援専門員//看護師(訪問) | 臨床心理士/公認心理師 |
精神保健福祉士/保健師 | 精神科医 |
- 距離が近い支援者は、日常的に話しかけやすく、私の小さな変化や困りごとをすぐに感じ取ってくれます。
- ゆっくり関係を築く支援者は、信頼を積み重ねていく中で、深く心のケアや制度的なサポートを受けられます。
どちらも私にとって欠かせない存在です。無理せず、話しやすい人から少しずつ支援を広げていくのが、自分に合ったやり方だと感じています。
まとめ:すべてを一人で抱えなくても大丈夫!
支援者に「頼る」ことって、最初はとても勇気がいることでした。私自身も、なかなか一歩が踏み出せなかったことを覚えています。
でも、「この人なら話してもいいかもしれない」と思える相手に出会えたとき、心がふっと軽くなったのです。
だからこそ、無理にすべてを話そうとしなくて大丈夫。まずは、話しかけやすい身近な支援者に、少しだけ気持ちを伝えてみることから始めてみてください。
そうやって少しずつ支援の輪が広がっていくうちに、気づいたら「ひとりで抱えなくてもいいんだ」と思える瞬間がやってきます。
私も、そうやって少しずつ支えられる実感を持てるようになりました。
今もし、「誰に相談したらいいか分からない」「どう頼ればいいのか不安」という方がいたら、この文章がその背中をそっと押すものになれたら、とても嬉しいです。
どうか自分を責めすぎずに。
あなたのペースで、ゆっくりでいいから、安心できるつながりを少しずつ広げていってくださいね。

最後に:安心して相談できる場所を探したい方へ
この記事を読んで、「どこに相談したらいいか具体的に知りたい」と思った方もいるかもしれません。
そんなときのために、全国どこからでもアクセスできる公的な相談窓口や支援機関をご紹介します。
▶ 全国の支援窓口まとめ
- 保健所、保健センター
地域ごとの保健所が一覧になっています。体調やこころの相談、必要な支援機関へのつなぎなど、初期相談の窓口になります。
全国保健所一覧 - 精神保健福祉センター
こころの悩み、依存症、家族支援など、より専門的な精神保健の相談ができます。電話や来所での対応が可能です。
全国の精神保健福祉センター一覧 - いのちの電話
悩みを誰にも言えないとき、つらさを言葉にできないとき、誰かにそっと話したいとき。24時間、匿名で話せます。
全国のいのちの電話一覧 - こころの健康相談統一ダイヤル
悩みの種類に応じて、お住まいの地域の公的相談窓口に自動で転送されます。 - 夜間・休日の精神科救急
夜間や休日に緊急で精神科の受診が必要なとき、最寄りの精神科救急機関を案内してくれます。
夜間・休日の精神科救急案内窓口(PDF))
どの支援者に頼ってもいいし、いきなりすべてを話さなくても大丈夫です。
少しずつ、「この人に話しても大丈夫かもしれない」という感覚を大事にして、自分に合った支援を見つけていってくださいね。

つながる手段は想像以上にたくさんあります。
あなたが安心できる場所に、必ずたどり着けますように…。