ピアカウンセラーに資格は必要?自分に合った学び方と活動のはじめ方

ピアカウンセラーに資格は必要?自分に合った学び方と活動のはじめ方 特集記事

こんにちは!メジャーサポートサービスで在宅勤務しています車いすユーザーのYです。

以前の「ピアカウンセラーになるには?」の記事でピアカウンセラーについてご紹介しましたが、
今回はさらに一歩進めて、ピアカウンセラーの民間資格の種類や選び方について詳しくご紹介します。

「どんな資格があるの?」「どれを選べばいいの?」と迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

  1. ピアカウンセラーとは?どんな仕事?
  2. ピアカウンセラーとピアサポーターって違うの?
    1. ✅ ピアカウンセラー
    2. ✅ ピアサポーター
    3. 🔑 違いをまとめると
  3. ピアカウンセラーって国家資格あるの?
    1. ✅ ピアカウンセラーに国家資格はありません
    2. ✅ どうして国家資格がないの?
  4. ピアカウンセラーに「民間資格」が必要か?
  5. ピアカウンセラーの民間資格の種類
    1. がん患者・家族支援系
    2. 障がい者・家族支援系
    3. 不登校・発達障がい児支援系
    4. アルコール・薬物依存症支援系
  6. 民間資格の難易度・費用感
  7. 資格を選ぶときのチェックリスト
  8. 具体的な資格・養成講座の例
    1. ピアカウンセラー養成講習会(日本心理療法協会監修/LEC)
    2. シニアピアカウンセラー(日本能力開発推進協会/JADP 認定)
    3. ピアサポーター養成講座(がん患者団体支援機構など)
    4. ピアヘルパー認定(日本教育カウンセラー協会)
    5. がんピアサポーター養成研修会(がん患者団体支援機構/自治体等)
  9. これらを踏まえた選び方への具体アドバイス
  10. 浜松市でピアカウンセラー関連の情報を探す方法
    1. 浜松市役所・静岡県庁の公式サイトを確認
    2. 地域のNPOや市民活動団体の情報をチェック
    3. 過去の参加者の口コミを探す
    4. 日程・期間・費用・場所の確認
  11. 資格取得後にできること
  12. まとめ:資格はスタート地点

ピアカウンセラーとは?どんな仕事?

「ピア(Peer)」は「仲間・同じ立場」を意味します。
つまり、ピアカウンセラーとは、自分と似た経験を持つ人に寄り添い、悩みを聴き、支える人です。

例えば、以下のような分野で活動しています。

  • 病気や障がいの経験
  • アルコール依存症の回復支援
  • 引きこもりや不登校の悩み
  • 子育てや介護の不安

専門家ではないからこそ、同じ経験を持つ人の気持ちに共感しやすく、相談者に「安心感」を与えられるのが大きな特徴です。

ピアカウンセラーのお仕事で「ピアカウンセリング」というものがあります。

「ピアカウンセリング」は障がい者自身がカウンセラーとなることによって、同じ境遇にある者同士で当事者同士にしかわからない痛みや悩みを分かち合い、支えあうために行われるカウンセリングのことです。

「ピアカウンセリング」については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
こちらの記事もぜひ読んでみてください。

ピアカウンセラーとピアサポーターって違うの?

ピアカウンセラー」と「ピアサポーター」はよく似た言葉ですが、役割や活動範囲には違いがあります。整理するとこんなイメージです。

✅ ピアカウンセラー

  • 目的:カウンセリングの手法を用いて、相手の気持ちに寄り添いながら心の整理や回復をサポートする。
  • 特徴
    • 傾聴を中心に「安心して話せる場」をつくる
    • 専門的なカウンセリングの知識やスキルを学んでいることが多い
    • 相手の問題を「解決する」のではなく、「話すことで自己理解や気づきを促す」
  • 活動例
    • 研修を受けたピアカウンセラーが、障がいや病気を持つ人の語りを傾聴する
    • 当事者同士のグループでファシリテーターを務める

✅ ピアサポーター

  • 目的:生活面や社会参加の中で「経験を共有し合う仲間」として支える。
  • 特徴
    • 専門的なカウンセリングの技術は必須ではない
    • 自身の体験談を分かち合い、日常生活での実践的な助言や伴走をする
    • 相談相手というより「仲間・ロールモデル」に近い存在
  • 活動例
    • 精神障がいのある方のピアサポート(「同じ経験があるから話しやすい」)
    • 就労支援や地域活動でのピアスタッフ
    • 病院や福祉サービスで利用者のサポート役として活動

🔑 違いをまとめると

  • カウンセリングに重点 → ピアカウンセラー
  • 生活・経験の共有や伴走に重点 → ピアサポーター

つまり、「心を聴く」ことに特化したのがピアカウンセラー
「生活や体験を分かち合いながら一緒に歩む」役割がピアサポーター
です。

ピアカウンセラーって国家資格あるの?

✅ ピアカウンセラーに国家資格はありません

現時点(2025年9月)では、ピアカウンセラーは国家資格ではなく、民間資格・研修修了証として認定されるのが一般的です。
つまり、医師や臨床心理士、公認心理師などと違って、国が定める国家資格や免許は存在しません

✅ どうして国家資格がないの?

ピアカウンセラーは、同じような経験を持つ人同士の「体験の共有」「相互支援」が大きな特徴です。そのため「資格の有無」よりも「体験や経験」「傾聴姿勢」が重視される背景があります。

また、活動の場が多岐にわたり(精神保健、依存症、がん患者支援、障がい者支援など)、まだ国として統一的に制度化されていないのが現状です。

ピアカウンセラーに「民間資格」が必要か?

ピアカウンセラーは、経験を活かして同じ立場の人を支える存在です。ですが、経験だけでは不十分なこともあります。

そこで大切になるのが「民間資格」です。資格取得を通じて以下のような学びが得られます。

  • 心理学やカウンセリングの体系的な知識
  • ロールプレイや演習を通じた実践力
  • 守秘義務など、支援者としての倫理観
  • 資格団体や仲間とのネットワーク

つまり、資格は単なる肩書きではなく、安心して相談できる信頼の証になるのです。

ピアカウンセラーの民間資格の種類

ピアカウンセラーの資格は、支援する分野によってさまざまな種類があります。代表的な分野を見てみましょう。

がん患者・家族支援系

  • 対象者: がん患者やご家族
  • 内容: がんの基礎知識、心理的変化への理解、グリーフケア、サロン活動の方法
  • 資格例: がんピアサポート専門員、患者会ピアサポーター
  • 選び方のポイント: 医療機関や地域サロンとつながりがあるかを確認

障がい者・家族支援系

  • 対象者: 身体・知的・精神障がいのある方とそのご家族
  • 内容: 障がい特性の理解、制度や社会資源の活用方法、当事者同士の支え合い
  • 資格例: ピアカウンセラー養成講座修了、ピアサポートワーカー認定
  • 選び方のポイント: 当事者団体主催の講座は実践的で学びが深い

不登校・発達障がい児支援系

  • 対象者: 不登校や発達障がいを持つ子どもと保護者
  • 内容: 子どもの心理理解、親の悩みへのアプローチ、教育機関との連携
  • 資格例: 不登校支援ピアカウンセラー、発達支援ピアサポーター
  • 選び方のポイント: 子ども向け・保護者向け、対象に合っているかを確認

アルコール・薬物依存症支援系

  • 対象者: 依存症から回復を目指す当事者と家族
  • 内容: 依存症の理解、回復プログラム、グループ運営のスキル
  • 資格例: 依存症ピア・サポーター、回復支援者認定
  • 選び方のポイント: 自助グループの理念や文化に沿ったプログラムであるか

民間資格の難易度・費用感

民間資格は種類によって学習期間や難易度が大きく異なります。

  • 難易度:
    入門講座(数日〜数週間)で学べるものから、半年〜1年かけて学ぶ専門コースまで幅広いです。心理学や医療の専門知識が必要な資格ほど難易度は高くなります。
  • 費用:
    短期講座で数万円、長期の養成講座では10万円以上かかることもあります。資格取得後も研修や更新費用が必要な場合があります。

学習負担や費用をふまえて、自分のライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。

資格を選ぶときのチェックリスト

資格を選ぶ際は、以下の点を確認してみましょう。

  1. 主催団体の信頼性(NPO・財団・大学など)
  2. カリキュラムの内容と学習方法(座学だけでなく実習があるか)
  3. 修了後の活動サポート(活動の場や継続研修の有無)
  4. 実際の活動実績(資格取得者がどこで活躍しているか)

具体的な資格・養成講座の例

※地域によって内容が異なりますので、詳細は各主催団体の最新情報をご確認ください。

ピアカウンセラー養成講習会(日本心理療法協会監修/LEC)

  • 主催団体: 一般社団法人日本心理療法協会 + LEC
  • 特徴・対象: メンタルヘルス基礎、聞き取り・傾聴などのコミュニケーションスキルを学ぶ
  • 学習形態期間の目安: 講座+レポート提出、約5時間程度の講習が中心 (lpe-jp.com)
  • 費用の目安: 約 33,850円(税込)(登録料含む) (lpe-jp.com)

シニアピアカウンセラー(日本能力開発推進協会/JADP 認定)

  • 主催団体: 日本能力開発推進協会
  • 特徴・対象: 高齢者及びその家族支援に特化。傾聴・共感力などを重視。
  • 学習形態期間の目安: 通信講座形式、在宅で学べるもの (500mails公式ブログ)
  • 費用の目安: 約 5,600円(税込) (500mails公式ブログ)

ピアサポーター養成講座(がん患者団体支援機構など)

  • 主催団体: 特定非営利活動法人 がん患者団体支援機構 等
  • 特徴・対象: がん経験者やその家族などが“仲間”として支えるピアサポーターを育成。
           がん体験を活かした支援を学べる。
  • 学習形態期間の目安: 数日間の研修(例 5日間)+オンライン/対面形式
                (がん患者団体支援機構)
  • 費用の目安: 約 20,000円前後(一般)/会員割引あり (がん患者団体支援機構)

ピアヘルパー認定(日本教育カウンセラー協会)

  • 主催団体: NPO法人 日本教育カウンセラー協会
  • 特徴・対象: 主に学生対象。学校・教育の現場など、同年代の相談対応や仲間同士のサポートなど教育・福祉分野で活きる資格。
  • 学習形態期間の目安: 所定の講義・演習や単位取得+筆記試験(マークシート+記述式)、約110分の試験等 (日本の学校)
  • 費用の目安: 受験料 約 4,800円 (日本の学校)

がんピアサポーター養成研修会(がん患者団体支援機構/自治体等)

  • 主催団体: 地方自治体、がん対策関連機関
  • 特徴・対象: がん経験者・家族ががん患者・その家族を支援するための基礎知識と実践スキルを学ぶ。研修後に患者サロンやピアサポート活動につながることが多い。
  • 学習形態期間の目安: 2日間など短期間で行われることが多い
  • 費用の目安: 無料〜数千円〜数万円、自治体等によって大きく異なる

これらを踏まえた選び方への具体アドバイス

これらの資格例をもとに、先ほどの「選び方ポイント」をもう少し現実的な形で補足します。

  • 対象分野を明確にする
    がん支援なら「がんピアサポーター養成研修会」「ピアサポーター養成講座」などが候補。高齢者向けなら「シニアピアカウンセラー」。教育現場なら「ピアヘルパー」。まず、自分がどの対象者/どの環境(医療/福祉/教育/地域など)で活動したいかをはっきりさせると、適切な講座が絞りやすいです。
  • 学習時間・形態との兼ね合いを確認
    例えば、「ピアカウンセラー養成講習会」は5時間講義+レポートといった比較的短いもので、時間を確保しやすい。対して、「ピアサポーター養成講座」や自治体の研修会は数日間。仕事や家事、他の予定との調整がつくかを見て選ぶとよいです。
  • 費用・負担の確認
    同じ支援分野でも、通信講座なら比較的安価、実践や対面講義が多いものは費用が上がる。自治体の研修などでは無料あるいは低価格のものもあり、費用対効果を見極めることが大切。
  • 修了後の活動先をイメージする
    研修を受けただけでは活動できないケースもあります。患者サロン、自治体、医療機関、ボランティア団体など、修了後にどういう場で活動するか、どんなサポートがあるかを確認しておくことが重要です。

浜松市でピアカウンセラー関連の情報を探す方法

浜松市役所・静岡県庁の公式サイトを確認

市役所や県庁の福祉部門、障害福祉課などのページでは、地域で開催される研修や講座の情報が掲載されることがあります。「ピアサポート」「ピアカウンセラー養成講座」などのキーワードで検索してみてください。

地域のNPOや市民活動団体の情報をチェック

市民協働センターや精神保健福祉センター、家族会などの団体が、地域でピアカウンセラー関連の講座や交流会を主催することがあります。これらの団体のウェブサイトやSNSをフォローし、最新情報をキャッチしましょう。

過去の参加者の口コミを探す

過去に「ひきこもりピアサポーター養成講座」などに参加した人の声や感想を探すと、講座の雰囲気や役立ち度がわかります。SNSやブログ、口コミサイトなどで情報を収集してみてください。

日程・期間・費用・場所の確認

講座や研修の開催日程、期間、費用、場所などの詳細を確認し、自分のライフスタイルや都合に合ったものを選ぶことが大切です。自治体の研修などでは無料または低価格のものもあり、費用対効果を見極めることが重要です。

これらの方法を活用して、浜松市でのピアカウンセラー関連の資格や研修情報を収集し、希望に合ったものを見つけてください。

資格取得後にできること

ピアカウンセラーやピアサポーターの資格を取得した後は、さまざまな場で活動を広げることができます。代表的な例を挙げると、次のようなものがあります。

  • 患者会やサロンでの活動
    がん患者サロンや精神障がい者の交流会などで、参加者の話を傾聴したり、安心できる場づくりをサポートできます。
  • 医療機関や福祉サービスでのピアスタッフ
    病院や福祉施設で、同じ経験を持つ仲間として利用者や家族の不安を支える役割を担えます。
  • 就労支援や地域活動でのピアサポート
    就労移行支援事業所や地域生活支援の場で、先輩利用者やロールモデルとして新しい参加者を支援できます。
  • 教育分野での仲間支援
    学校や大学で、同じ悩みを持つ学生同士をつなぐ「ピアヘルパー」として活動するケースもあります。
  • NPOや市民活動団体でのボランティアやスタッフ
    地域のNPOや当事者団体で、講座や啓発活動、イベント運営に関わることが可能です。

👉 資格取得はゴールではなく、「人の役に立つ活動をスタートするための切符」と考えるとよいでしょう。

まとめ:資格はスタート地点

ピアカウンセラーの民間資格は、ゴールではなく支援活動を始めるための準備です。
「どんな人を支えたいか」を考え、その目的に合った資格を選ぶことで、あなた自身の活動がより実りあるものになります。

ぜひ、ご自身に合った資格を探して、
第一歩を踏み出してみてください。

ピアカウンセリング