「使いづらい…」をなくすITへ。アクセシビリティとは何かを障がい者目線で解説

コラム

こんにちは、メジャーサポートサービスで在宅勤務している車いすユーザーのYです。

最近、こんなふうに感じたことはありませんか?

「このアプリ、なんだか使いにくいな…」
「ボタンが小さくて押しづらい…」

それって、ちょっとしたことだけど、地味にストレスですよね。

でもその「使いづらい」
人によっては「そもそも使えない」こともあります。

ほんの少しの違いが、
「使える人」と「使えない人」を分けてしまうことがあるんです。

いまは、買い物や手続き、仕事まで、
多くのことがオンラインでできる時代です。

この記事では、そんな違いを生む考え方——
「アクセシビリティ」について、障がいのある方の視点も交えながら、わかりやすく解説していきます。

「使いづらい」は、誰かにとって「使えない」になる

「使いづらい」、
実は誰かにとっては「使えない」です。

文字が小さい。
ボタンが押しにくい。
説明がわかりにくい。

こうしたちょっとした不便は、
人によっては大きな壁になります。

視覚に障がいのある方。
手に麻痺や震えがある方。
読み書きに困難を抱える方。

こうした方にとっては、
私たちが感じる「少し不便」が、
そのまま「使えない理由」になることもあります。

アクセシビリティって何?

年齢や障がいの有無に関係なく、
みんなが同じように情報やサービスを使えることを指します。

ITの分野では、
「誰でもデジタルにアクセスできる設計」という意味で使われます。

「a11y(エーイレブンワイ)」と略されることもあり、
これは “accessibility” の間に11文字あることが由来です。

アクセシビリティが関係するのは、こんな場面です。

  • 視覚障がい(全盲・弱視・色の見え方の違い)
  • 聴覚障がい
  • 手の震えや麻痺などの運動機能の制限
  • 認知・学習の特性(ディスレクシアなど)
  • 高齢による機能の変化

さらに見逃せないのが、誰にでも起こる状況です。

  • ケガで片手しか使えない
  • 外で画面がまぶしくて見えない
  • 電車の中で音が聞こえない

アクセシビリティは、
特定の人だけの問題ではありません。

参考:情報通信アクセス協議会
   https://www.ciaj.or.jp/access/index.html

実際にどんな困りごとがあるの?

ここでは、具体的な例を見てみます。

■ 視覚障がいのある方の場合

全盲の方は「スクリーンリーダー」を使うことが多いです。
これは、画面の文字を音声で読み上げるソフトです。

ただし、画像に説明がないと、
「画像」としか読み上げられません。

この説明は「alt(オルト)テキスト」と呼ばれ、
画像の内容を伝えるために欠かせないものです。

ボタンも同じで、
説明がないと何の操作か分からなくなります。

また、弱視の方は画面を拡大したり、
コントラスト(色の見やすさ)を調整して使います。

そのときにレイアウトが崩れると、
操作が難しくなってしまいます。

■ 運動機能に制限がある場合

手の震えや麻痺があると、細かい操作が難しくなります。

  • 小さすぎるボタン
  • 長押しが必要な操作
  • 素早いスワイプ

こうした設計は、そのまま「使いにくさ」につながります。

また、キーボードだけで操作できるかも重要です。
マウスが使えない人にとっては必須の条件です。

■ 認知・学習に特性がある場合

ディスレクシア(※1)のある方にとっては、
文章のわかりやすさがとても重要です。

  • 文章が長すぎる
  • 難しい言葉が多い
  • 情報が多すぎる

こうした要素だけで、読みづらさは大きく変わります。

また、動きの多い画面や自動再生の動画は、
集中を妨げる原因になることもあります。

※1.ディスレクシアとは
ディスレクシア(dyslexia)は、
読み書きに困難がある発達特性のひとつです。

知的な能力とは関係なく、
文字を読む・書くことにだけ強い苦手さが出るのが特徴です。

参考:国立成育医療研究センター
   https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/007.html

世界基準「WCAG」とは

アクセシビリティには、世界的な基準があります。
それが「WCAG(ダブリューキャグ)」です。

これは国際団体W3Cが策定したガイドラインで、
日本の行政サイトでも採用されています。

内容は4つの原則にまとめられています。

  • 知覚できる(見える・聞こえる)
  • 操作できる
  • 理解できる
  • さまざまな環境で使える

これらは「POUR原則」(※2)と呼ばれます。

また、達成レベルは
A・AA・AAAの3段階に分かれており、
日本では公共サイトでAAレベルが求められています。

※2.POUR原則とは
POUR(ポア)原則とは、
Webアクセシビリティの国際ガイドラインである
WCAGの中核になる「4つの基本ルール」のことです。

名前は英語の頭文字からできています。
 ・Perceivable(知覚可能)
 ・Operable(操作可能)
 ・Understandable(理解可能)
 ・Robust(堅牢)

参考:ユニウェブ
   https://hellouniweb.com/columns/wcag/
   Accessibility First
   https://www.accessibilityfirst.at/ja/posts/pour-the-4-web-accessibility-principles

じゃあ、何をすればいいの?

難しそうに感じるかもしれませんが、
できることは意外とシンプルです。

まずはここからでOKです。

  • 画像には説明(altテキスト)をつける
  • 色だけでなく、文字でも情報を伝える
  • 文字と背景のコントラストを確保する
  • エラーは具体的な言葉で説明する
  • 動画には字幕をつける
  • キーボードだけで操作できるようにする

大切なのは、最初から考えておくことです。

アクセシビリティは「良いデザイン」

アクセシビリティは、特別なものではありません。

すべての人にとって使いやすい設計そのものです。

たとえば…

  • 字幕 → 音が出せない場所でも役立つ
  • シンプルな文章 → 誰でも理解しやすい
  • 大きなボタン → 押し間違いが減る

こうした効果は「カーブカット効果」(※3)と呼ばれます。

もともとは、車いすの人のための段差解消が、
多くの人に役立ったことから生まれた考え方です。

デジタルでも、同じことが起きています。

※3.カーブカット効果とは
カーブカット効果とは、
特定の人のために行った工夫が、結果としてみんなの便利さにつながることです。

まとめ

「使いづらい」と感じたとき、
その裏には「使えない人」がいるかもしれません。

いまは、生活の多くがオンラインで完結する時代です。

だからこそ、アクセシビリティはとても重要です。

参考

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