就労継続支援A型事業所がなくなるニュースを見て「利用者である」私が思ったこと

就労継続支援A型事業所がなくなるニュースを見て「利用者である」私が思ったこと A型事業所について

こんにちは。在宅でA型事業所で働いているKです。

最近、ネットニュースやSNSなどで、「A型事業所が閉鎖した」という話をよく見かけるようになりました。
正直に言うと、ちょっと怖くなりました。
自分の通っている事業所が、ある日突然なくなってしまったら…?
今の生活が、今の働き方が、急に崩れてしまうかもしれない。そう思うと、不安な気持ちが心の中に広がっていきました。

(写真:K)

そんな中で、「どうしてA型事業所の経営ってそんなに難しいんだろう?」という疑問がわいてきて、自分なりに調べたりしてみました。

今日は、その中で私が知ったこと、感じたことを、同じような不安を抱えている誰かと分かち合えたらと思って書いています。

A型事業所の収入は、どこから来ているの?

まず知っておきたいのは、A型事業所の「経営の柱」は、主に3つあるということです。
どれも、私たち利用者の活動と深く関わっています。

① 基本報酬

これは、私たちが通所して働いた日数や時間に応じて、国や自治体から事業所に支払われるお金です。
言ってみれば、「毎日きちんと来て働いてくれてありがとう」というようなイメージです。
私たちが出勤するだけでも、事業所にとっては大切な意味があるんですね。

② 訓練給付

作業だけでなく、私たちがスキルアップのために受ける訓練(パソコンや軽作業、就職準備など)に対して支払われる支援金です。
「働く力を育てている」という部分も、しっかりと評価されていることがわかって、ちょっと嬉しくなります。

③ 生産活動収入

これは、実際に私たちが手がけた作業や製品によって得られるお金です。
たとえば、商品の封入、梱包、データチェック、データ入力など…。
この「お仕事の売上」が、事業所の大きな支えになっているんです。

経営が難しくなる理由って?

A型事業所は、私たちのように働くことにサポートが必要な人にとって、とても大切な場所です。
だからこそ、最近いろんなところで「経営が大変になってきている」と聞くと、他人事とは思えません。
いったい何が起きているのか――その理由を自分なりに調べてみました。

● 最低賃金が上がっている

A型では、私たち利用者とも「雇用契約」を結ぶので、最低賃金をきちんと守らなければいけません。
でも、受けている仕事の内容によっては、それだけの人件費をまかなうのが難しいこともあるそうです。

● 仕事が減ると、すぐに収入が減る

企業からの委託作業が減ったり、突然終わったりすると、事業所の収入もガクッと減ってしまいます。
私も以前、やっていた仕事が突然終わってしまって、ぽっかり時間が空いて不安になったことがありました。

● 支援制度やルールが変わる

基本報酬や訓練給付の条件が厳しくなったり、計算方法が変更されたり…。
そうした制度の変化に対応するのが難しくて、経営が立ち行かなくなってしまう事業所もあると聞きました。
そして、最近とくに話題になっているのが「社会保険の適用拡大」による影響です。
これは「106万円の壁」とも呼ばれ、私たちA型事業所の利用者にとっても、今後の働き方や事業所の存続に大きく関わってくる可能性があります。

この制度改正については、別の記事で詳しくまとめてみました。
「手取りが減るって本当?」「保険に入るとどう変わるの?」など、私自身が感じた疑問も含めて書いています。
【手取りが減る?】A型事業所利用者にも影響する「106万円の壁」とは?

利用者としてできることって?

(写真:K)

最初は「経営のことなんて、私には関係ない」と思っていました。
でも、話を聞いたり調べたりしていく中で、「私たちのがんばりが、事業所の力になるんだ」と感じるようになりました。

たとえば…

  • 毎日、なるべく安定して通うこと(=基本報酬につながる)
  • 訓練を真面目に受けること(=訓練給付の対象になる)
  • 作業に丁寧に取り組むこと(=生産活動収入が増える)

ひとつひとつは小さなことでも、それが積み重なると、事業所を支える力になる。
そう思うと、ちょっと背筋が伸びるような気がしました。

おわりに

ニュースで「A型事業所の閉鎖」を目にすると、不安になって当然です。
でも、そんなときこそ、私たちにできることを少しずつ積み重ねていくことが、今の場所を守ることにつながるのかもしれません。

(写真:K)

無理せず、焦らず、でも丁寧に。
自分のペースで前に進みながら、事業所という「居場所」がこれからも続いていくように、私も日々を大事にしたいと思います。

もし、同じように不安を感じている方がいたら、
「ひとりじゃないよ」と、そっと伝わってくれたら嬉しいです。