障がいのために働けなかったり収入が低かったりすると、保険料や税金の支払いも痛手になってしまいがちですよね。
そこで今回から2回にわたって、保険料や税金が免除や減額になる制度を紹介していきます。
新シリーズ前編となる本記事では、保険料が免除や減額になる制度を紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、あなたの生活にお役立てください。
目次
国民年金保険
国民年金保険は20歳以上60歳未満の全ての国民が加入対象になっている公的年金制度です。
前もって保険料を納めておくことで、老後や傷病時などに年金を受け取ることができます。
国民年金保険料の法定免除制度
国民年金保険には法定免除制度があります。
特定の条件を満たしていれば国民年金保険料の納付が免除されます。
この制度の適用条件と適用時期は以下の通りです。
- 生活保護の扶助を受けている。
⇒生活保護を受け始めた日を含む月の1つ前の月の保険料から免除になります。
例)2024年10月15日から受給の場合
→2024年9月分の保険料から納付免除
- 障害基礎年金または被用者年金(2級以上)を受給している。
⇒認定された日を含む月の1つ前の月の保険料から免除になります。
例)遡及請求で2021年12月15日が認定日の場合
→2021年11月分の保険料から納付免除
→さらに、納付済みの保険料(受給開始が2024年10月とすると、2021年11月~2024年10月の分)が返還
遡及請求(年月をさかのぼっての請求)の場合は、納付済みの保険料の返還も受けられます。
障害年金の請求方法についてはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:A型事業所勤務でも障害年金は貰えるの?
- 国立ハンセン病療養所などで療養している。
→入所した日を含む月の1つ前の月の保険料から免除になります。
例)2024年11月15日入所の場合
⇒2024年10月分の保険料から納付免除
ご覧の通り、障害基礎年金や障害厚生年金を受給している場合にも法定免除制度が適用されます。
ただし、障害厚生年金の3級や障害手当金は制度の適用対象外なので注意しましょう。
制度を利用するデメリット
国民年金保険料の法定免除制度には、将来受け取れる老齢年金の減額というデメリットも存在します。
制度の利用期間中も保険料を納めているという扱いにはなりますが、保険料の納付額は所定の額の半額で計算されます。
納付額が減れば将来受け取れる額も減ってしまうということです。
もちろん、制度を利用せずに保険料を納め続ければ、将来受け取れる年金が減額されることはありません。
また、10年までなら免除された保険料をさかのぼって納める事もできます。
参考:国民年金保険料の追納制度
国民健康保険
国民健康保険は他の医療保険制度に加入していない全ての人が加入対象になっている医療保険制度です。
保険料を納めることで、病院にかかる際などに医療費の負担額を減らすことができます。
国民健康保険料の減免
国民健康保険料は国民年金保険料とは違い、基本的に障がい者を対象とした減免制度はありません。
しかし、お住まいの市町村によっては障がい者も減免制度の対象になっている場合があります。
今回は、浜松市と豊橋市の減免制度をピックアップして紹介します。
浜松市の場合
浜松市で国民健康保険料が減免になるのは、保険料の納付が困難な場合と65歳以上の被扶養者が国民健康保険に加入した場合の2つのケースがあります。
保険料の納付が困難な場合とは、具体的に以下の場合のことです。
- 生活困難
- 病気やけがによる休業に伴う著しい収入の減少
- 災害等による住宅・家財の損失・損壊があったとき
- 干ばつ・凍霜害による農業被害や不漁による漁業被害があったとき
保険料が減免になるもう一つのケースは、職場の健康保険に加入している方の後期高齢者医療への移行に伴って、その被扶養者(65歳以上の方に限る)が国民健康保険に加入した場合です。
残念ながら、浜松市では障がい者を対象とした減免制度はありません。
浜松市HP:保険料の減免/浜松市
豊橋市の場合
豊橋市では、以下の場合に保険料減免の対象になります。
- 生活保護または中国残留邦人等への支給を受けた場合
- 災害による住宅・家財の損害金額がその価格の3割以上で、前年の世帯の合計所得が1,000万円以下の場合
- 傷病による失業などのために生活が著しく困難になった場合
- 会社都合での失業または事業の廃止・休止により生活が著しく困難になった場合
- 刑務所等に入っていて医療の給付を受けられない場合
- 各種控除の申告をしていて、前年の合計所得が135万以下の障がい者・寡婦・ひとり親
豊橋市にお住いの場合、前年の所得によっては障がい者も保険料減免の対象になります。
ただし、合計所得が135万以下でも本人に所得がない場合には減免の対象にはならないことには要注意です。
豊橋市HP:国民健康保険税の減免について/豊橋市
自立支援医療制度を利用しよう
ここまで、国民健康保険料には基本的には障がい者が対象の減免制度はないというお話をしてきましたが、間接的に国民健康保険料の負担を軽減する制度があります。
その制度が、自立支援医療制度です。
この制度を利用すると、医療費の自己負担額を最大で1割にまで減らすことができます。
そもそも、国民健康保険は保険料を納めることで医療費を肩代わりしてもらうものですから、これは実質的な保険料の減免と言えます。
また、自立支援医療制度は障がい者手帳を持っていれば誰でも利用することができます。
この制度の詳細について解説した記事がありますので、ぜひご覧ください。
おすすめ記事:自立支援医療制度と重度心身障害者医療費助成制度
まとめ
- 障害基礎年金または2級以上の被用者年金を受給している場合、国民年金保険料の法定免除制度を利用することができる。
- 国民年金保険料の免除期間も加入期間として扱われるが、納付金額は通常の半分で計算される。
- 基本的に障がい者を対象とした国民健康保険料の減免制度はないが、住んでいる市町村によっては減免になる場合がある。
- 自立支援医療制度を利用することで、国民健康保険料の負担を実質的に減らすことができる。
いかがだったでしょうか?
月々の保険料の支払いも、収入が少ないと確実に生活を圧迫します。
使える制度は上手く利用して、少しでも生活を楽にしたいですね。
次回は税金編ということで、税金の障害者控除について解説します。
では、次回の記事でまたお会いしましょう!