浜松・磐田をはじめとする
遠州地域が誇る伝統の技術、
「遠州織物(えんしゅうおりもの)」。
その美しさと心地よさは
多くのブランドに認められながらも、
実は今、存続の危機に
直面しています。
一方でその価値に共感し、
福祉の現場も含めた
新たな関わりが、ここ浜松で
少しずつ生まれ始めています。
今回は、遠州織物の魅力と現状、
そして地域で広がる新しい動きをご紹介します。
🪢遠州地方伝統の技術「遠州織物」の魅力
「遠州織物」とは?
「遠州織物(えんしゅうおりもの)」とは、
静岡県西部・浜松市を中心とする
遠州地域で受け継がれてきた
綿織物の総称です。
天竜川の水と、暖かい気候に
恵まれた遠州地方は、
江戸時代中期(18世紀頃)に
綿花栽培が盛んとなり、
その農家の副業として織物づくりが発展。
トヨタグループ創始者・豊田佐吉による
自動織機の発明などは、
日本の繊維産業全体の機械化を後押しし、
産地の発展にも影響を与えました。
最大の特徴は、現在では希少となった
シャトル織機を使って織ります。
生地に余計な力がかからず、
ふっくらとした柔らかさや
温かみのある風合いが生まれます。
静岡県:🪢遠州織物とは
静岡県:🪢遠州織物の歴史
豊田自動織機:🪢豊田佐吉物語
遠州織物を支える「シャトル織機(しょっき)」とは?
生地を織る織機には、
シャトル織機とシャトルレス織機があります。
現代の主流である、
シャトルレス織機は、
エアジェット(空気)や
ウォータージェット(水)、
レピアなどの方式を用いて緯糸を通し、
高速生産するため効率が良く、
ツルツルと均一な表面に仕上がります。
一方、シャトル織機は古い機械で、
杼[ひ](シャトル・タテ糸の間を
左右に往復してヨコ糸を
通すための部品)が左右に往復して
ゆっくり織り上げます。
そのため生産スピードが遅く、
非効率でもあります。
しかし、糸に負担をかけず、
ゆっくり織るため、ふっくらと、
温かみのある風合いが生まれます。
さらにきめ細やかで
頑丈な布に仕上がります。
HUIS.:🪢シャトル織機とは
🎞️EMIDAS MOVIEチャンネル
約100年前のシャトル式織機で織る
「前掛け帆布」
こちらの動画では、
シャトル織機が布を織っている
様子を見ることができます。
🧵「遠州織物」の後継者問題
知られざる「本物の技術」と後継者不足
高級ブランドにも
採用されることがある遠州織物。
しかし、多くの場合はブランド名が
前面に出るため、生地の産地である
「遠州織物」の名前が
一般に知られる機会は多くありません。
世界的にも高く評価される
技術を持ちながら、その価値が十分に
伝わらないこともあり、現在は後継者不足や
事業者の減少が深刻な課題となっています。
1970年代多くの織物関連事業者が
ありましたが、現在では
大幅に減少しています。
PR TIMES:🪢[松重豊×HUIS]最高級の【遠州織物】を日常着として味わう世界で唯一、究極のタイプライタークロスシャツを届けるクラウドファンディング
「シャトル織機」消滅の危機
遠州織物を支える旧式のシャトル織機は、
新しく製造は行われておらず、
職人が修理を重ねながら
使い続けています。
また、部品が手に入らないだけでなく、
それをメンテナンスできる
熟練の職人さんも高齢化。
機械だけでなく、それを扱う
技術の継承も大きな課題となっています。
🎞️こちらのニュースでは、
遠州織物を未来へつないでいくための
課題が紹介されています。
テレビ静岡ニュース
”遠州織物”を知っていますか?
👝伝統を未来へつなぐ、地元企業の熱い挑戦
「ぬくもり工房」が守る「遠州綿紬(めんつむぎ)」の火
遠州織物の魅力を、多くの人に
知ってもらおうと、
活動している企業の一つに
🪢ぬくもり工房さんがあります。
ぬくもり工房さんは、浜松市に本店を構え
遠州織物の原点とも言える
「遠州綿紬」(※)の温かみあふれる
質感にこだわり、
現代のライフスタイルに合う
モダンな雑貨やインテリアを
企画・販売しています。
浜松本店には、
1915年前後に製作されたと
予想される、木鉄混製の
小巾織機が展示されています。
<「遠州綿紬」とは?>
遠州織物の一種で、
伝統的な小幅の反物から、
現代では洋服やインテリア用の
広幅の生地もあります。
ぬくもり工房:🪢日本の縞
「ぬくもり工房」
浜松市浜名区染地台 3-12-25
営業時間:10:00-18:00
TEL:053-545-6391
水曜定休・駐車場有り

写真:ぬくもり工房HPより
👉手のぬくもりは人から人へ
遠州織物の魅力を伝えるもう一つの企業「HUIS.」
遠州織物の魅力を伝えたいと
奮闘する企業の代表格のもうひとつ、
アパレルブランド「👚HUIS.(ハウス)」。
代表の松下昌樹さんは、元浜松市職員。
産業振興の仕事に携わる中で、
遠州織物と出会い、その高い品質や
職人の技術力に魅了されました。
「この素晴らしい生地を、
もっと多くの人に知ってほしい」
という思いから、2014年にHUIS.を創業。
以来、遠州織物だけを使用した
上質な日常着を全国へ届けています。
「遠州織物×久留米木の棚田プロジェクト」も牽引!
農林水産省が認定する
“つなぐ棚田遺産”にも選ばれている
浜松市引佐地区の久留米木の棚田。
HUIS.は、この棚田で綿花を栽培し、
遠州織物として製品化・販売する
「遠州織物×久留米木の棚田プロジェクト」を
牽引。
地域の産業と資源を生かし、
新たな可能性を広げています。
🎞️「遠州織物×久留米木の棚田プロジェクト」
👚遠州織物と「福祉」の融合
遠州織物の未来を
「福祉」という新しいアプローチで
支える人々がいます。
「遠州みみの里」は「ぬくもり工房」と連携して遠州織物を支える
中央区和合町にある
就労継続支援B型・生活介護事業所、
「遠州みみの里」は、
主に聴覚に障がいのある方が
利用する福祉施設です。
同施設では、
先ほどの「ぬくもり工房」から
依頼を受け、遠州綿紬製品の
たたみ作業や検品を担っています。
「ぬくもり工房」は創業以来、
地域の障がい福祉施設と連携しながら
ものづくりを続けてきました。
地域の伝統産業を支えながら、
一人ひとりの働く機会づくりにも
つながっています。
ぬくもり工房:🧵【静岡県 浜松市】SDGs事例|障がい者施設との取り組み
遠州みみの里:🧵みみの里グッズ「遠州綿紬」
遠州綿紬の「くるみえぷろん」が人気!「ワークショップくるみ」
中央区小沢渡町にある
就労継続支援B型事業所
🧵「ワークショップくるみ」では、
遠州綿紬を使ったハンカチや
エプロンなどを製作・販売しています。
遠州綿紬ならではの縦縞を活かした
「くるみえぷろん」は、
やさしいデザインが魅力。
ふじのくに福産品ブランドに認定され、
平成29年度静岡県授産製品コンクール
(縫製品部門)では
静岡県健康福祉部長賞を受賞しています。

写真:認定特定非営利活動法人
オールしずおかベストコミュニティより
👉ワークショップくるみの「遠州綿紬」
病気でも自分らしく。遠州織物ブランド「siisow株式会社」の挑戦
遠州織物を使った
アパレルブランドを展開する
siisow(シーソー)株式会社は、
地域の活性化と、
一人ひとりに合った働き方の
実現の両方に取り組んでいます。
代表の橋本さわこさんは、
遠州織物の魅力を広めたい
という思いからブランドを
立ち上げました。
その後、病気のため一般的な働き方が
難しい村上知子さんと出会い、
体調の良いときに働ける仕組みを提案。
現在は、橋本さん、村上さん、
パタンナーの3人で協力しながら、
遠州織物を使った洋服づくりを続けています。
遠州織物の魅力を生かすとともに、
それぞれの状況に合わせた働き方を
大切にしながら、世界に一つの洋服を
生み出しています。
🧵siisow株式会社
SDGs未来都市浜松:👚川廷さんとともに学ぶ 未来を変える浜松のSDGs/【対談記事】siisow株式会社
🪢【まとめ】遠州織物の魅力と継承の今
先日、静岡のローカルニュースで
「遠州織物」が高級ブランドにも
使われることがある高い技術を持ちながら、
後継者不足や、シャトル織機を
メンテナンスする職人の減少で
ピンチに直面していることを知りました。
調べてみると、
就労継続支援B型事業所などでも、
「遠州織物」の製品づくりで
遠州織物を発信する取り組みが
あると知り、このブログでも取り上げたい
と感じました。
「遠州織物」は少し高価な製品ですが、
自分でも改めて、ハンカチやポーチなど
手にしてしっかり伝統の技術を
感じてみたいと思います。
<関連記事>
こちらは遠州の伝統芸能!
「遠州大念仏」を
観に行ってみませんか?
<参考記事>
・静岡県:🪢遠州織物とは
・静岡県:🪢遠州織物の歴史
・豊田自動織機:🪢豊田佐吉物語
・HUIS.:🪢シャトル織機とは
・PR TIMES:🪢[松重豊×HUIS]最高級の【遠州織物】を日常着として味わう世界で唯一、究極のタイプライタークロスシャツを届けるクラウドファンディング
・ぬくもり工房:🪢手のぬくもりは人から人へ
・ぬくもり工房:🪢日本の縞
・👚HUIS.(ハウス)
・ぬくもり工房:🧵【静岡県 浜松市】SDGs事例|障がい者施設との取り組み
・遠州みみの里:🧵みみの里グッズ「遠州綿紬」
・🧵「ワークショップくるみ」
・認定特定非営利活動法人オールしずおかベストコミュニティ:🧵ワークショップくるみの「遠州綿紬」
・🧵siisow株式会社
SDGs未来都市浜松:👚川廷さんとともに学ぶ 未来を変える浜松のSDGs/【対談記事】siisow株式会社


